山の中の細い道路をどんどん上って行くと、そのどん詰まりに目指す古い農家づくりの家屋が見えてきた。まさに行き止まりの地点に、その家はあって、郵便屋さんもここでUターンしていく。

 その家に住んでいるのは、磁器作家の我妻淳さんだ。今年44歳になる。独身で、勝手に居ついている猫のゴンと2人暮らしを送っている。馬頭の谷川(やかわ)という地区に移住してきて6年。磁器を焼き続けている。

「碧風窯」と名付けられた我妻さんの作陶所。目の前に、大家さんが丹精する畑が広がる(画像クリックで拡大)

愛猫のゴンと(画像クリックで拡大)

 我妻さんは宇都宮生まれ。東京の大学を出て、広告代理店の営業や情報誌の編集などサラリーマン生活を11年過ごした後、34歳の時に陶芸の道を志す。

「それまでの仕事はチームでやるものでした。チームプレーも嫌いじゃないけど、最初から最後まで1人でやる仕事がしてみたかった」

手作りの室。冬は冷え過ぎて、作品が凍るので、ヒーターを入れる(画像クリックで拡大)