外出から戻った家内が怪訝な表情を浮かべて、こう聞いた。

奇跡のリンゴ』(石川拓治・著/幻冬舎/1365円)

「奇跡のリンゴって、知ってる?」

 一瞬、答えに詰まった。

「なんか、歯がない笑顔だらけのジイさんが作っているらしいのよ」

 二の句が継げないとは、このことだ。

「知らないけど、いま1個だけもらったの」

 えーーー、としばし絶句した。

 「奇跡のリンゴ」は、青森県岩木町のリンゴ農家、木村秋則さんが、完全無農薬・無肥料で育てたリンゴである。4年ほど前にNHKの番組で紹介されて、急にブレイクした。その後、関係する本も何冊か出され、ベストセラーになっている。

 このサイトの読書特集の時に、私も『奇跡のリンゴ』(幻冬舎)を推薦させてもらった。無農薬、無肥料でリンゴを作ることは、至難の業を通り超えて、絶対不可能と思われていた。