新政権下で初となる税制改正要望が10月末に出そろい、住宅税制の改正案が明らかになりました。実際の改正内容は今後の議論の結果を待たなければなりませんが、とかく不透明と言われがちな新政権による住宅政策の、ひとつの方向性を示す材料として注目されます。

景気対策として贈与税非課税枠拡充を要望

 国土交通省がまとめた平成22年度の税制改正要望のうち、住宅および街づくり関連の主な項目は以下のとおりです。このうち目玉となるのは、なんといっても贈与税非課税枠を現行の500万円から2000万円に拡大するというものでしょう。この減税による減収見込額は、同省試算によると507億8100万円で、要望案の中でも突出した金額となっています。

■国土交通省による平成22年度住宅・街づくり税制の主な改正要望(10月30日提出)

●住宅取得等資金に係る贈与税非課税枠の拡充〈507億8100万円〉
贈与税の非課税枠を500万円から2000万円に拡大するとともに、省エネ・耐震改修等に要する資金を適用範囲に追加
●住宅バリアフリー改修促進税制(固定資産税)の延長〈5000万円〉
高齢者が安心し自立して暮らせるため、バリアフリー化の費用負担を軽減
●高齢者向け優良賃貸住宅建設促進税制の延長及び拡充〈8億800万円〉
●エコ・コンパクトシティ形成促進税制の創設〈7200万円〉
コンパクトな都市構造を実現するため、病院、保育所、図書館等暮らしの向上に資する施設について、人が集まっている地区への集積の促進等を支援
●住宅に係る省エネ改修促進税制の延長〈22億3700万円〉
窓の二重サッシ化等の省エネ改修を行った住宅に係る固定資産税の特例措置を延長

※〈 〉内は減収見込額

 新政権はマニフェスト(政権公約)の中で租税特別措置の見直しを掲げており、住宅税制では住宅ローン減税と贈与税非課税枠が縮小されるとの憶測もありました。実際に贈与税については見直し案が盛り込まれたわけですが、縮小どころか大幅な減税を打ち出してきたわけです。減税が必要な理由については「景気対策・成長戦略のため」としており、住宅減税を重要な景気対策と位置づける姿勢が鮮明になっています。

 ちなみに同省の税制改正要望で新規・拡充分として盛り込まれた減税による減収見込額の合計は49億9400万円となっており、贈与税非課税枠の拡大分は含まれていません。政府税制調査会では新規の減税要求について、各省がそれに見合った財源を確保すべしとする「ペイ・アズ・ユー・ゴー」の原則を打ち出しています。国土交通省によると各種特例の廃止による増収額が68億1800万円あり、減収見込額との差し引きで18億2400万円の増収になるとの説明です。しかし最大級の減税となる贈与税非課税枠を計算に入れていない点については、今後財務省などから厳しい追求があるものと予測されます。