“ストーリーのある日本の逸品だけ”を売るECサイト「藤巻百貨店」。2012年のオープン以来、数々の日本の素晴らしいモノを発信し、売り上げを堅調に伸ばしている。会員数も1年目の約1万人から現在は約3.7万人と3倍以上になっている。その藤巻百貨店に立ち上げから関わり、バイヤーからコンテンツ制作までをこなす中村亮氏。中村氏に、ECサイトでヒット商品を生み出すノウハウを聞いた。

中村亮(なかむら・あきら)氏
caramo代表取締役。2011年ザッパラス(東証1部)コマース事業担当取締役に就任、2012年5月日本の逸品のみを取り扱うこだわりのECサイト「藤巻百貨店」を故藤巻幸大氏と共に立上げる。2015年8月に藤巻百貨店事業を主力としたcaramoを設立し独立。代表取締役に就任。日本の逸品を目利きする商品開発、22万人のFacebookファンを魅了し続けるコンテンツ制作も手掛ける
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――藤巻百貨店の個性とは何でしょう?

中村亮氏(以下、中村): 日本のいいもの、職人、優れた人たちにフォーカスして、価値をそのまま伝えることを特徴にしています。作り手を取材して、商品がもっている魅力的なストーリーを引き出し、写真を撮って、ページを作って発信しています。

――値引きなしの販売をモットーにしていますね。

中村: そうですね。ECサイトというと、みなさんどうしても値引きのイメージがあると思いますが、僕らは値引きをする必要がありません。

――なぜ必要がないのでしょうか?

中村: 例えば、ラグジュアリーブランド品などは並行輸入品などもあり、どこもかしこも同じものが出ていて、そこで他のECサイトと差別化するには最終的に値引きに行き着いてしまう。でも僕らは最初から「ブルーオーシャン」、みんなが売っている商品を売るのではなくて、競争過多にならないところでビジネス構築をしようと思っていました。商品の魅力とイコールになるような商品価値が伝わるコンテンツをきちんと作って、お客さんに買っていただき、喜びを得ていただくというような想いがベースにあって、藤巻百貨店はスタートしています。

――ブルーオーシャンの商材を見つけてくるということが一番難しいのでは?

中村: そうですね。僕らはあえて難しい領域に突入している。例えば逸品を作る職人さんは自分が作ったものをすごく大事にしていらっしゃる。ネットで販売? どう取り扱うの? 自分の思いがきちんと伝わるの? と最初は不信感だらけです。

――どうやって信頼を得るのでしょう?

中村: こういうふうに売りますという内容を企画書にして、きちんとご説明して、断られて、またおうかがいしてということの繰り返しです。

――断られても諦めない。

中村: 諦めませんね。むしろ断られてからが始まりです。1年説得することはざら、最長で3年ということも。そこはめげない。(断られても)傷つきもしない。絶対にうちでやったほうがいいと勝手に僕は妄想していますから。間違いなくお客さんにも、作り手さんにもいいことだ、役に立つはずだと思っているので。

――商品がヒットする理由は、商品がもともと持っているポテンシャルと、自分たちが仕掛ける売り方、どちらがより重要だと思いますか?

中村: 順位はつけられませんね。商品のポテンシャルでいうと、僕らはある一定の法則に基づいて、まずは商品を分析します。

――一定の法則とは?

中村: 商品って、職人やメーカーさんからの見方と、お客さんからの見方が一致していないケースがよく見られます。僕らはその間の立場ですからお客さんサイドから見たらどう映るかを軸にして、商品のポテンシャルを分析し魅力を引き出します。職人・メーカーさんが気付いていない商品の魅力を引き出すのも私たちの仕事です。

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