建設費が比較的安くて、道路の上に建設できる

 通常の鉄道や地下鉄などに比べてモノレールが有利な点、逆に欠点とはどんなものだろうか。

 まず、モノレールは線路などのインフラ部分が比較的安く作れる。さらに線路の幅が小さいため、景観を圧迫することなく道路上を通すこともできる。また、現在使われている形式ではタイヤがゴムなので登坂力がある上、基本的に高架であることを生かして、高低差のある地形でも真っ直ぐに路線を通すことができる。つまり、丘陵地に向いているわけだ。

 また、本気で走らせるとかなり速い。現在、東京モノレールは、空港快速という途中停車せずに浜松町駅と羽田空港を結ぶ便を運行している。これはモノレールの高速性を生かした使い方だ。

大阪モノレールの万博記念公園駅にある入れ替え軌条。雄大で未来感あふれる景観だが、大規模な入れ替え軌条を必要とするのは、モノレールの欠点(撮影:松浦晋也)
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 逆に欠点はといえば、当然だが既存の鉄道と相互乗り入れが不可能なことや、上下線の車両を入れ替える際などに特殊かつ大がかりな専用軌道が必要になることだ。

 モノレールを建設するならば、特有の利点をうまく生かしつつ、欠点がはっきりと表れないようにする必要がある。建設費でいえば、地下鉄の場合、1kmあたりの建設費が200~300億円かかるのに対して、モノレールは百数十億円程度だ。ただし、同100億円程度の新交通システム、同30億円以下の路面電車といったライバルもいるので、モノレールを採用する前に利害得失をよく考える必要がある。

 でも初期のモノレールは、「とにかく作ってみる」という色彩が強かった。ここでは詳しくは取り上げないが、1960年代から70年代にかけて、遊園地にはかなりの数のモノレールが導入されている。上野懸垂線は東京都交通局による実験線だったし、JR東海道線・大船駅と江ノ島を結ぶ湘南モノレールは、三菱重工がサフェージュ方式を導入するにあたって建設した実験のためのモデル路線という色彩が強い。この湘南モノレールは丘陵地帯を突っ切るように走っていて、高低差に強いという特徴を生かしている。

 これらの試行錯誤を経て、日本ではモノレールの使い方は主に3つとなった。1)既存の道路の上を通してバス輸送を代替する、2)都市の周囲を回る環状線として使う、3)空港など大型施設と都市部とのアクセス、あるいは大きな施設内の移動に使う――である。

 1)の典型例が多摩都市モノレールだ。多摩丘陵にはいくつもの大学があり、宅地開発も進んでいるため輸送需要が大きい。にもかかわらず、幹線道路である都道は、抜け道が少なく渋滞が頻繁に起きるので、バスの定時運行が難しい。そこで道の上にバスよりも輸送能力の大きなモノレールを通したわけである。

 2)の代表は大阪モノレールだ。伊丹の大阪空港から、大阪の中心部を囲むようにぐるりと路線が走っている。途中、交差する放射状の鉄道路線各線との乗り換えを確保し、環状線としての役割を果たしている。環状線は放射状路線と比べると、周囲の土地利用が進んでから計画されることが多い。すでに開発が進んだところでも道路の上の空間ならモノレールを通すことができる。また、環状線なら既存鉄道網と車両が相互乗り入れできないという欠点も目立たない。

 3)はもちろん東京モノレールが開拓した使い方だ。また、かつての小田急向ヶ丘遊園モノレールやドリームランド線は遊園地へのアクセス路線だった。現在では、東京ディズニーランドで施設内を移動するディズニーリゾートラインが営業している。

 ただし、こうした形で100%分類できるわけではない。大阪モノレールは環状線であると同時に大阪空港へのアクセスラインにもなっているし、沖縄都市モノレールは市街地を縫うように走りつつも、那覇空港へのアクセスも提供している。