ビジネスパーソンが注意するべき“病気”について、専門家に解説してもらうこの連載。初夏から真夏にかけて活発になるイメージのある毒バチ。ところが危険とされるスズメバチは秋の行楽シーズンこそ気をつけなければならない時期だと言います。南相馬市立総合病院、尾崎章彦先生に刺されないための、もし刺されてしまったときの対策を解説していただきます。

秋にも活発なスズメバチ!

 突然ですが、日本で最も多くの死者を出している野生生物をご存知でしょうか?

 熊や蛇を想像される方も多いでしょうが、答えはハチです。日本では実に毎年20人ほどの方がハチに刺されて亡くなっています(図1)。

図1:日本における蜂刺されの死亡者数等
厚生労働省「蜂刺され死亡者数(人口動態統計)」を筆者が改訂
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スズメバチ(写真出典:ウィキメディア・コモンズ/Wikimedia Commons)
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 刺すハチの中で攻撃性が高いのはスズメバチとアシナガバチです。

 中でも注意しなくてはならないのは、スズメバチです。彼らは外敵から巣を守る防衛本能が非常に発達しています。そのため、些細(ささい)な刺激に対しても敏感に反応して人を襲うのです。

 またスズメバチは秋になっても活発に活動します。巣が外気に露出しているアシナガバチが、秋になると活動を終えるのとは対照的に、巣が外被に覆われており、巣内の温度が外気に影響されにくいことが理由です。

アシナガバチ。足をだらんと下げるようにしながらスズメバチよりゆっくり飛ぶ。攻撃性はそれほど強くないが、巣を刺激すると危険。巣の形状は傘状で複数の穴がある。巣作りは4月上旬ころから。8月中旬に活動のピークを迎え、11月には離巣、巣は1年で放棄(写真出典:ウィキメディア・コモンズ/Wikimedia Commons)
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スズメバチ。速く直線的に飛び、羽音が大きい。攻撃性はかなり強く、繁殖期、9月下旬から10月初旬まで注意が必要。巣に近づいただけで威嚇し、立ち去らなければ攻撃。巣はボール状で出入口は1カ所、マーブル模様になっている(初期の巣は徳利形)。巣作りは4月下旬ころからで、12月には死滅、巣は放棄(写真出典:ウィキメディア・コモンズ/Wikimedia Commons)
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 実際、スズメバチによる被害は、夏だけでなく秋にも多く起きます。アウトドアに出かけた際はもちろん、ふだんからスズメバチには十分に注意する必要があります。

 では、刺されないようにするためには、どのようなことに注意するべきでしょうか。

 北海道大学の三浦徹教授によると、ポイントはスズメバチを興奮させる色・動き・匂いについて、理解することだそうです。一般にスズメバチを興奮させる色として、黒色が知られています。しかし実際には色そのものよりも、背景とのコントラストが重要であることが分かっています。そのため、安全と考えられている白色であっても、背景色と大きく異なれば、刺激となる可能性があります。また急に動いたり、手で追い払ったりするような動作の他、香水やオーデコロン、最近ではしっかりと香りが残るタイプの柔軟剤などの匂いも、スズメバチを刺激する可能性があります。

■参考文献
林野庁「蜂刺され災害を防ごう
中村雅雄・著「スズメバチ 都会進出と生き残り戦略【増補改訂新版】」(八坂書房・刊)
松浦誠、大滝倫子、佐々木真爾 他・著「蜂刺されの予防と治療 -刺す蜂の種類・生態・駆除、蜂刺され対策と医療-【改訂版】」(林業・木材製造業労働災害防止協会・刊)