今回のお題は、ニコンの高倍率ズームデジカメ「COOLPIX P900」だ。いわゆるネオ一眼スタイルのレンズ一体型モデルだが、35mm判換算で2000mm相当の超望遠撮影が可能な光学83倍ズームレンズを搭載しているのが最大のポイント。ズーム倍率などの数字はすごいがレスポンスや画質が悪くて実用性はいまひとつ…といった機種も散見されるネオ一眼だが、COOLPIX P900の予想外の実力に落合カメラマンは目を見張ったという。

 若かりしころ、24mmと105mmのレンズ2本だけで仕事のほとんどをこなしていた時期があった。昭和の終わりから平成のアタマにかけてのことである。使っていたのは、レンジファインダー機ではなく一眼レフ。ちょうどMFからAFへの過渡期であり「仕事で撮るのにAFなんか使ってられるかいっ!」などという啖呵がキマっていた時代でもあった。

 若気の至りというか、いまから思うと怖いものナシの向こう見ずなやり方だったような気がする。でも、写真を撮る姿勢としては、ひょっとしたらアレが正しかったのではないかと、歳を食ってからシミジミ思い出したりもしているところだ。それなりに経験を積んできたいま、もう一度あらためて、ああいう真っ直ぐな姿勢で写真に向かい合うべきなのかも…。

 でも、ぶっちゃけそんなのもうムリっすね(あれ?)。だってぇ~、高倍率ズームが大好きなカラダになっちゃってるんだもーん。単焦点レンズだけで日々、過ごす? ムリむり無理っ。銀塩時代以上にムリな気がするわ。まぁ、それだけに、たまに単焦点レンズの“不便さ”に縛られると、チョ~気持ち良かったりするんだけど(笑)。

 というワケで、なんだかとっても魅力的に見えるニコン「COOLPIX P900」。みなさんすでにご存じの通り、光学83倍ズームを搭載する、ある意味ブッ飛んでいるコンデジだ。35mm判換算の焦点距離域でいうと24~2000mm相当の画角が得られる(開放F値はF2.8-6.5)ということで、デジタルズーム等の電子処理に頼らず光学のみで得られるテレ端の画角としてはコンデジ“最狭級”。このレベルになると、「遠くのものが大きく撮れる」というより「ものすごく狭い範囲を切り撮る作業になる」と表現した方がしっくりくるような気がするのである。

最大2000mm相当までのズームが可能なレンズ一体型の高倍率ズームデジカメ「COOLPIX P900」。実売価格は7万円前後だが、一部のカメラ量販店ではまだ品薄の状況が続いている
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 ソニーのDSC-RX10(初代)に惚れた過去を持ち、パナソニックDMC-FZ1000を常時携帯してきた2015年春~夏の私にとって、P900の登場&存在は、当然のことながら多大なる興味を引くものとなった。RX10とFZ1000は、ともに1型センサーを搭載するモデルなので、それよりも圧倒的に小さな1/2.3型のセンサーを搭載するP900とは、厳密には直接の比較対象にならない。しかし、「高倍率ズームレンズを搭載する望遠に強いコンデジ」というくくりの中では、一般論として(カメラとして立っているステージには厳然たる違いがあるとは知りつつも)呉越同舟の間柄と捉えてしまってもさほどの無理はないと思われ、同時に「一眼レフ的シルエット」を特徴とする外観においては、大ざっぱに同じカテゴリーに属するモデルだといってもバチは当たらないのではないかと個人的には考えている。