食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
 生物に性別があることは当たり前のことのように受け入れられていますが、はたしてオスが存在するのはなぜなのでしょうか?

ダーウィンの進化論では性選択のためオスは派手に

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 生物学的な観点からすると、男性が存在する意味は何でしょう?

 実はこの問題、長らくの間、生物学者にとっては謎なのですが、英国イースト・アングリア大学(University of East Anglia)の研究者らが、その重要な理由を科学誌「ネイチャー」に報告し、話題になっています。

■参考文献
Nature「Sexual selection protects against extinction

 「進化論」については、1859年にイギリスの自然科学者のチャールズ・ダーウィン博士が出版した『種の起原』が有名ですよね。ダーウィン博士はこの中で「自然選択説(=自然淘汰説)」という理論を生みだしました。これは、生存競争を繰り広げる生物は、その環境に適した個体が生き残る、そしてその繰り返しで進化するという仕組みのことで、これが進化論として一般に広まりました。

 ところが、自然選択説では説明できない生物の形質があり、ダーウィン博士を悩ませました。例えば、クジャクの派手な羽根、鹿の角やライオンのたてがみなど、オスのみに発達している形質です。これらは捕食者に見つかる可能性や動くのに邪魔になるなど、生存競争上ではかえって不利になるため、自然選択説では説明できません。そこでダーウィン博士は「性選択(=性淘汰)」という理論を考え出しました。性選択では生殖のために、ライバルになるオス同士はメスに選ばれようと競います。子どもをつくり子孫を残すためにメスを魅了する形質が進化したというわけです。