性選択は遺伝的健全性の維持や向上のため

 次に研究者らは、実験AとBのグループ集団をそれぞれ7年間、50世代におよぶ観察後、血縁関係にある集団の同系交配を行いました。同系交配では、ネガティブな遺伝子の変異が起こりやすくなることが分かっています。

 結果は、性選択の激しい競争を経験した集団はより適応度が高く、絶滅に抵抗性を示しました。一部では、20世代あとまで生き延びました。一方、性選択のない集団は、同系交配を開始後、10世代で絶滅しました。

 研究チームのリーダーであるマット・ゲージ教授は、イースト・アングリア大学のプレス・リリースに次のように語ります。

 「性選択は、集団の健康と存続のために重要です。性選択により、ネガティブな遺伝子の変異が排除され、ポジティブな変異を維持するからです。生殖のための闘争には、オスはライバルに勝ち、メスを魅了するために、多くの面で優れていなければなりません。つまり性選択は、遺伝的健全の維持や向上のために、効果的なフィルターとなります」

■参考文献
University of East Anglia「Population benefits of sexual selection explain the existence of males

 この報告が示した生物学的に男性が存在する理由からは、男性は健康維持と存続のために、女性を魅了し、ライバルと競う運命だということになりますね。

Photo:Sujin Jetkasettakorn
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著者

大西睦子(おおにし・むつこ)

大西睦子

医学博士。東京女子医科大学卒業後、同血液内科入局。国立がんセンター、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科にて、造血幹細胞移植の臨床研究に従事。2007年4月より、ボストンのダナ・ファーバー癌研究所に留学し、ライフスタイルや食生活と病気の発生を疫学的に研究。2008年4月より、ハーバード大学にて、食事や遺伝子と病気に関する基礎研究に従事。著書に『カロリーゼロにだまされるな――本当は怖い人工甘味料の裏側』(ダイヤモンド社)。