エプソンを苦しめるプリンターの再販ビジネスとは?

 セイコーエプソンが、インクジェットプリンターのビジネスモデルの変革に静かに取り組んでいる。いや、日本では静かに感じるが、グローバル戦略のなかではかなり大胆に展開しているといっていいだろう。

 プリンターメーカーに共通している従来のビジネスモデルとは、インクジェットプリンター本体を低価格で販売し、その後は利益率の高いインクカートリッジの販売によって収益を得るというものである。

 ときには、プリンター本体が1万円を切るような処分特価で販売されることもあり、インクカートリッジを複数本購入するよりも、在庫処分で販売されている新品プリンターを購入したほうが買い得だった、というような逆転現象が発生することもある。

 その一方で、インクで収益を得る必要があるため、純正のインクカートリッジが高価になる。この結果、純正品よりも廉価に販売されるサードパーティー製の互換インクカートリッジの市場を広げてしまっていた。特に、新興国市場では、粗悪品を含めた互換インクが幅広く流通しており、プリンターメーカーがインクで稼ぐビジネスモデルは成り立たない状況が生まれていた。

 加えて、セイコーエプソンの場合、新興国市場において、もうひとつ驚くような動きが出ていた。それは、業者が50ドル以下の低価格プリンターを仕入れ、独自に改造して、互換インクを入れた大型インクタンクを搭載し、再販するというビジネスを開始していたことだ。

 セイコーエプソンの碓井稔社長は、「エプソンのプリンターには耐久性がある。それがむしろ裏目に出た」と、同社独自のマイクロピエゾプリントヘッド技術の強みが、同社にとって好ましくない“再販ビジネス”を生む温床になっていたことを苦笑する。

 新興国に日本式のビジネスモデルを持ち込めば、プリンター本体で収益を確保できないばかりか、インクカートリッジでも儲からず、利益はセイコーエプソンとはパートナー契約の関係すらない再販業者に転がり込むという構図となり、同社の儲けどころがまったくない状況だったのだ。