人間の姿そっくりに創られたアンドロイド

 「こんにちは、ミナミと言います。今日は来てくれてありがとう、高島屋にはよく来られるんですか?」

 20代の女性をモデルに、人間の姿そっくりに創られたアンドロイド「ミナミ」が2012年11月に高島屋大阪店(大阪市中央区)で初公開されました。

 ミナミは大阪大学の石黒浩教授(知能ロボット学研究室)と、ATR(国際電気通信基礎技術研究所)のIRC知能ロボティクス研究所が共同で研究・開発しているアンドロイドで、ミナミは通称、正式名称は「ジェミノイドF」です。

2012年に高島屋で公開されたアンドロイド「ジェミノイドF」(通称ミナミ)
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※ジェミノイドFは、大阪大学と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)石黒浩特別研究所により共同開発されたものです。
※「ジェミノイド」「テレノイド」「エルフォイド」は国際電気通信基礎技術研究所(ATR)の登録商標です。


 「ロボットらしいロボットだけでなく人間らしいロボットを用いて、人間の持つ存在感を解明することが目的」として開発されています。そのジェミノイドであるミナミが百貨店でお披露目され、会話もできるとあって注目されました。初公開された際は、タッチパネルで入力した質問に対してミナミが返事を返す仕組みで、精巧に創られた姿は肌の質感もリアルで、集まった多くの人たちはその外観に驚きました。容姿と動きはまるで近未来SF映画に登場するアンドロイドを見ているようです。

 ジェミノイドFは対話機能を中心したヒト型アンドロイドで、一部は自律化しているものの完全自律型の会話ロボットを目指しているのではなく、主に遠隔制御によるものとなっています。とはいえ、2013年5月に再び高島屋に登場したときには、音声認識機能を追加し、簡単な会話ができる機能が搭載され、来店した人たちはアンドロイドとの会話を楽しんでいました。

 石黒浩教授は自身にそっくりな「ジェミノイドHI」を開発したことでも注目されています。大阪大学が開発した「HI-4」は遠隔操作型アンドロイドで、コンプレッサーによる16個の空気アクチュエーターで16の自由度(頭部:12、胴体:4)を実現しています。

石黒浩大阪大学特別教授とジェミノイドHI-4
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※ジェミノイドHI-4は、大阪大学により開発されたものです。


 ATRと大阪大学は、遠隔操作を通して人が乗り移れるジェミノイドのほかに、性別や年齢を感じないニュートラルなデザインをした「テレノイド」や通信機能を融合した「エルフォイド」なども発表しています。

 ASIMOやPALRO、Pepperはロボットらしいデザインをしていますが、一方ではこのように人間に限りなく近いジェミノイドや誰のイメージでも重ねることができるテレノイドのように、ヒトの存在感や権威を伝達するロボット開発や研究も行われています。

 2014年10月に開催されたCEATEC JAPAN 2014では、東芝が人型コミュニケーション・アンドロイド「地平アイこ」(チヒラアイコ)を参考出品しました。顔の表情を微妙に変化させつつ、上半身を使って手話で情報を伝達します。開発は大阪大学、芝浦工業大学、湘南工科大学らの協力で行われ、人間らしい自然な動きに重点が置かれています。特に自然な表情に気を配り、顔には15カ所の動作部があります。また、手には24カ所で合計43カ所のアクチュエーターが使用されているようです。今後は開発者向けに開発キット(SDK)を公開していくことも予定され、新しいロボットプラットフォームの1つに進展していく可能性もあります。

東芝のコミュニケーション手話ロボット「地平アイこ」
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