アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」

 外見はタテゴトアザラシの赤ちゃんを模したぬいぐるみです。その中身は、「Most Therapeutic Robot(世界で最もセラピー効果のあるロボット)」としてギネス世界記録(2002年)に認定されたり、FDA(アメリカ食品医薬品局)に医療機器として承認されているメンタルコミットロボットです。名前は「PARO」(パロ)。

 メンタルコミットロボットとは「かわいい」や「心地良い」といった主観的な感情を重視し、人に楽しみや安らぎなどの精神的な働きかけを行うことを目的にしたロボットのことです。

 パロは独立行政法人産業技術総合研究所が開発し、2005年より知能システムが販売を開始、高島屋や三越などの百貨店の玩具売り場等で販売されていました。そのため、施設より個人向けの販売の方が多かったのですが、2010年より大和ハウス工業が法人向けを主軸に販売を展開し始め、介護・福祉施設への導入事例が増えました。既に世界約30カ国で累計3200体が販売され、うち国内が約2200、海外が約1000体とみられています(2015年2月時点での推定)。

セラピー用アザラシ型ロボット「パロ」
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 動物と触れあう「アニマルセラピー」(アニマルテラピー)は、心が癒やされたり、ストレスが解消したり、元気付けられるなどの効果が期待され、セラピー治療の1つとして用いられることがあります。日本ではあまり知られていませんが、欧米では犬、猫、鳥、イルカなど、動物との触れ合いが自閉症やうつの治療法の1つとして認識されています。

 パロにはユビキタス面触覚センサーが内蔵され、人が触った場所、撫でた方向、叩いたり抱っこするなどを感じることができます。また、このセンサーは柔らかいため、センサーで覆われていてもパロの体は柔らかく感じられます。

 パロは人間の言葉は話しませんが、視覚、聴覚、触覚、運動感覚などがあり、アザラシのような声を出します(本物のタテゴトアザラシの赤ちゃんの鳴き声も使われています)。ロボット本体には32ビットRISCチップを1基、8ビットマイコンを7基搭載、ユビキタス面触覚センサーのほかにも小型の3軸加速度センサーを搭載しています。さらに、多言語対応の音声認識機能があるため、自分の名前を覚え、人間の呼びかけに反応します。また、撫でられたり抱きかかえられると喜び、光を当てられたり叩かれると嫌がるなど、人工知能システムがセンサーの情報を処理し、感情を動作で表現するだけでなく、人の接し方によってはパロの性格が変化します。