※本連載は『Pepperの衝撃!パーソナルロボットが変える社会とビジネス』(日経BP社)から抜粋して再構成したものです。

コミュニケーションロボット「wakamaru」

 実は1mを超える大きさの自律型コミュニケーションロボットが一般家庭用に市販されるのはPepperが初めてではありません。泳ぐシーラカンスロボや移動型エンターテインメントロボット「新ロボット神ちゃん」など、さまざまなロボットを開発してきた三菱重工業が、家庭生活に役立つロボットとして2003年2月に発表したのが「wakamaru」(ワカマル)です。

 wakamaruは環境・工業デザイナーの喜多俊之氏によるデザインで、身長100cm、幅45cm、重量約30kgの黄色いロボットです。Linux系OSで動作し、CPUはARMプロセッサ7基、無線LANを内蔵し、ネットワークと連携する機能を持っているため、サーバーからさまざまな情報を取得したり、メールの送受信も可能です。約1万語に対応した音声認識機能を持ち、あらかじめ顔の画像を登録(10人まで)しておくことで、カメラで取得した画像から相手の顔を識別して会話する顔認証技術も搭載しています。ほかにも、赤外線や超音波などの各種センサーを搭載し、車軸を使って自律的に移動することができます。段差は1cm程度まで乗り越えられます。

 ネットワークと連携した機能では、ユーザーの行動予定の通知、遠隔地からwakamaruのカメラを通して自宅の状態を確認したり、wakamaruが動くものを検知したらメールで通知する留守番機能があります。

コンセプトや身長、移動方法など、Pepperの先駆けとなった印象が強いwakamaru
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 wakamaruは2005年に家庭用ロボットとして発売されました。初回は東京23区居住者を対象に限定100台で予約を受け付け、価格は157万5000円。オムロンフィールドエンジニアリングが保守サポートなどを担当し、ベルシステム24がコールセンター、伊藤忠商事、住友商事、三菱商事が販売支援、西華産業が情報やアプリ開発などを行うという、7社による協力体制の構築も発表されました(後に玩具メーカーのバンダイや広告代理店などとの連携も発表)。

 介護分野での活用も展開。1人暮らしの高齢者や健康不安を持つユーザーを視野に「留守番」「見守り」「異常時の通報」「健康管理」機能も重視されました。

 2008年には、米ニューヨークのユニクロのグローバル旗艦店に一時的なスタッフとして配置されるなど、ビジネス分野でも活用され、三菱みなとみらい技術館(横浜市西区)で展示されています。三菱みなとみらい技術館では不定期に、wakamaruと手をつないで散歩するイベントなども開催されています。


『Pepperの衝撃! パーソナルロボットが変える社会とビジネス』
(神崎洋治 著、日経BP社、定価1620円[税込み])

世界初の感情認識パーソナルロボットPepperとは――。ロボットビジネスの現状からソフトバンクのビジョン、Pepperの発表から発売までを振り返りながら、Pepperの特徴や仕様、技術、ビジネス等での活用、アプリ開発、AI(人工知能)などについて紹介する。


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