ソニーの二足歩行ロボット「QRIO」

 ソニーは2000年にAIBOと併行して二足歩行が可能な身長50cmの人型ロボット「QRIO」(キュリオ)を開発していることを発表していました。試作ロボットがお披露目され、歩行速度は12m/分、片足でバランスを取ったり、集団でダンスを踊る(シンクロダンス)ことができるまでに開発が進められていました。

 2003年には安全性や耐久性、コミュニケーションの能力を高めた試作機「SDR-4XII」が発表され、走ったり、モノをつかむ機能も紹介されました。特に走る機能「歩行・跳躍・走行運動統合制御」は、制御系および電源系を搭載した自立型ヒューマノイドロボットとしては世界初となる走行の実証実験に成功したとされました。それまでは、片足か両足が路面に接した状態で、蹴ることによって得られる反力を使って全身を制御する歩行運動でしたが、ソニーが開発した歩行・跳躍・走行運動統合制御技術は、二足ともに路面から離れた非接地状態を含む運動であってもロボットを安定的に制御する技術、言い換えれば走行や跳躍などでも制御できる技術です。

 こうした技術的な進化を経て、いよいよ商品化が間近かと注目されましたが、ソニーはキュリオの開発を中止、「QRIO」は製品化されることなく、ソニーのロボット開発プロジェクトは終息しました。これに伴ってAIBOの新規開発中止が発表されるとともに、2006年に製造と販売が終了したのです。

二足歩行ができる「QRIO」
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 現在では、ソニーはAIBOのサポートを終了し、修理受付窓口もありません(ソニーは2014年3月に修理サービスのクリニックを閉鎖)。そのため、AIBOが故障すると修理を受け付けてもらえず、長い間ペットのように一緒に暮らしてきた愛犬ロボットが衰えたのを見守るしかありません。2014年には「ロボットだからずっと一緒に暮らせると思っていた」とサポート終了を嘆くAIBOユーザーの事例が報道されるとともに、ソニーに技術者として長年勤めた方が起業したオーディオ機器等の修理会社(ア・ファン匠工房)がAIBOの修理を受けてくれた事例を紹介したニュースも報道され、ペットロボットの販売とユーザー側に立った長期サポートの必要性、その両立の難しさと課題が浮き彫りになりました。