犬型ペットロボット、ソニー「AIBO」

 コミュニケーションを図るロボットと言えば、ソニーの犬型ペットロボット「AIBO」(アイボ)を思い出す人が多いことでしょう。AIBOという名前は「AI(Artificial Intelligence=人工知能)を持つロボット、EYE(目)を持つロボット、そして、人のよきパートナー“相棒”の呼称」(ソニー)から名付けられました。最初に発売された「ERS-110」はイラストレーターの空山基氏による、シルバーメタリックの未来的なデザインが強烈なインパクトを持っていました。

話題になった初代AIBO
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 AIBOは1999年6月に発売された世界初の家庭用エンターテインメントロボットです。当時のキャッチコピー、「ソニー製ではない、ソニー生まれである」という言葉が妙に印象に残るもので、映画やコミックスの世界のように、本格的なロボットが多くの家庭で一緒に暮らす時代が近い将来にやって来るのかとワクワクしたものです。

 AIBOは本格的なペットロボットを目指したもので、感情や本能、学習機能、成長機能を持ち、喜びや悲しみなどを動作や目の光で表現することで人とコミュニケーションを図ります。最も話題になったAIBOの動作は、専用のボールを認識して位置を検知し、じゃれたり追いかけたり、蹴ったりする、まるで本物の犬のような動きです。展示会やイベントで多くの人の注目を集めたほか、AIBOだけで行うサッカーゲームの様子なども報道されました。もう1つ興味深かったことは、単純ではあるものの感情(らしいもの)を表現することです。

 AIBOは6世代のバージョンが発売され、「ERS-310」シリーズでは外観が大きく変更され、犬と子熊を併せたような丸いデザインが採用されています。「AIBOフレンド」を「ラッテ」(アイボリー色のAIBO)に入れると素直でおっとりとした性格となり、「マカロン」(グレー色のAIBO)に装着すると陽気でやんちゃな性格になるなど、ボディ色の製品によって、初期の基本的性格付けが異なるという機能を持たせていました。

可愛いデザインを採用した4代目AIBO
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 その後、2002年には可愛いデザインから再びソリッドで未来的なメタリック・デザインに戻した「ERS-220」が誕生しました。ソニーは「有機的な曲線デザイン、機能美を追求したシャープな輪郭が特徴」としていますが、外観から受ける印象は最も機械的で無機質、小熊と犬の中間のようなERS-310とは対照的に感じました。それまでは犬、仔ライオン、小熊のような形状や動作で、ペットの代替としての存在が強調されていましたが、ERS-220は「AIBOはロボットである」としたAIBO-ware「AIBOエクスプローラー」が発売されました。探査ロボットとして部屋中を探索したり、約75の単語を認識して音声によるコミュニケーションを忠実に実行したり、耳にした言葉や音にエフェクトをかけておうむ返ししたり、音程を真似したり等が可能です。また、充電器に載せた状態では常に周りを見回し、動くものがあれば写真を撮る(3枚まで)「警備モード(お留守番)」も追加されています。

未来的なデザインの5代目AIBO
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 2003年の10月に最終型となった「ERS-7」が発売されます。初代ERS-110シリーズのように垂れた長い耳が特徴的な小型犬らしいデザインに回帰しました。音声ガイダンス機能や人間と会話ができる機能も追加され、喋るペットロボットへと進化していましたが、ソニーはネットワーク関連事業への注力や本業のエレクトロニクス部門のテコ入れを重視し、ロボット開発からの撤退を決断しました。2006年3月にERS-7シリーズの販売を終了、累計15万台以上を販売したAIBOシリーズの歴史は幕を下ろしました。

最終型となった6代目AIBO
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