心に刻もう「自転車は車両、左側通行必須」

 とはいえ、いきなり車道を走れと言われても、すぐには怖くて走れないというのが人情だろう。実際問題として2008年の段階で、自転車専用レーンが整備された道はほとんどなかった。その後も、歩道を分割して自転車専用レーンを作るというような、非常識かつ歩行者にとっては危険きわまりないことも行われた。

 それがここ数年で、急速に変わりつつある。そこここの車道に、視覚分離を採用した走りやすい自転車専用レーンが設置されるようになってきたのだ。今後もこうした自転車専用レーンは増えていくことだろう。

 自転車という道具は、エネルギー効率が大変良い。人体にせいぜい十数kgの構造物を付加するだけで、徒歩と比べると劇的にモビリティを向上させることが可能だ。このような便利な道具は、使いやすい環境を整備して、どんどん使っていくべきだ。

 環境は整いつつある。次は意識の改革だ。私たちは、自分自身にも周囲にも強くたたき込む必要があるだろう。「自転車は車両、左側通行必須」と。

(文/松浦 晋也=科学ジャーナリスト、ノンフィクション作家)

プロフィール

松浦 晋也(まつうら しんや)

 ノンフィクション・ライター/科学技術ジャーナリスト。宇宙作家クラブ会員。 1962年東京都出身。日経BP社の記者として、1988年~1992年に宇宙開発の取材に従事。その他メカニカル・エンジニアリング、パソコン、通信・放送分野などの取材経験を経た後フリーランスに。宇宙開発、情報・通信、科学技術などの分野で執筆活動を続けている。

 代表作は、日本初の火星探査機「のぞみ」の苦闘を追った「恐るべき旅路」(2005年朝日ソノラマ刊、現在は復刊ドットコム刊)。近著に「はやぶさ2の真実」(講談社現代新書:2014年11月刊)「小惑星探査機『はやぶさ2』の挑戦」(日経BP社:2014年12月刊)

 乗り物マニアで、折り畳み自転車4台にシクロクロス1台、ママチャリ1台、リカンベント2台、オートバイ2台と自動車1台を所有。パラグライダーで空を飛んでいたこともある。

 ブログ:松浦晋也のL/D、Twitter:@ShinyaMatsuura