今回は、キヤノンが2015年2月に発売した「EF11-24mm F4L IS USM」を紹介する。魚眼レンズを除けば史上最広角となる、対角線126度をカバーする超広角ズームレンズだ。魚眼レンズのように描写が球状にゆがむことなく、直線をまっすぐに描写するのが大きな特徴。これまでにない広い領域を見たままに写し取れるだけでなく、広角レンズならではの遠近感や迫力もグッと増す。40万円という実勢価格から、風景や建築写真を手がけるプロカメラマンがメーンターゲットとなるが、アマチュアの写真ファンからの注目度も高いレンズだ。

キヤノンが2015年2月に発売したEFマウントの超広角ズームレンズ「EF11-24mm F4L USM」。実勢価格は40万円前後
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 この連載ではこれまでさまざまなレンズを紹介してきたが、今回は連載史上もっともワイドなレンズを取り上げる。キヤノンの「EF11-24mm F4L USM」だ。収差によって180度前後の画角を得る魚眼レンズを除けば、広角端の水平117度/対角線126度という画角は史上最高……いや“最広”の数値。一説によると、人間の視野が水平120度といわれているので、視野をほぼ丸ごと写し込めるともいえる。焦点距離も11mmと、フルサイズ用レンズでは他に類を見ない。ズームの望遠端も24mmとワイドなのだが、11mmからファインダーをのぞいたままズームしていくと24mmがまったく広角に感じられなくなるほどだ。

 11mmとはどれくらい広いのかというと、横位置で撮影した場合の天地(短辺)は、16mmを使って縦位置で撮った場合の天地とほぼ同じ。アスペクト比の関係もあって、16mmで撮影した縦位置画像を2枚並べるよりも11mmで一発撮りした方が広い範囲が写る。僕は、広角ズームレンズ「EF16-35mm F4L IS USM」を愛用しているが、16mm2枚分といわれてもなかなかピンと来ない。

 すごい性能を持つズームレンズをキヤノンはなぜ投入してきたのかといえば、同時に発表したフルサイズ機「EOS 5Ds/5Ds R」があってのことだろう。フルサイズセンサー最高の5060万画素で広い範囲を切り取り、その一部をトリミングするという使い方は、EF11-24mm F4L USMとの組み合わせならば十分実用性というか可能性がある。たとえば、シフトレンズを使わなくても建物や室内をゆがみなく撮れるし、複数の被写体をワンカットに収められることで学術や報道の分野でも重宝するだろう。

11mmの画角があれば、少し離れただけで広い交差点を丸ごとカバーできる(EOS 5D Mark III使用、ISO200、1/13秒、F8、11mm)
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被写体に近寄れば強烈な遠近感を生かした表現も。左に写り込んでいるカラフルな傘は、レンズとくっつく寸前の距離だった(EOS 5D Mark III使用、ISO160、1/40秒、F5、11mm)
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超広角は引きのない場面でも生きてくる。絞り開放でも隅々までシャープな点には本当に驚かされた(EOS 5D Mark III使用、ISO800、1/80秒、F4、11mm)
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