価格は950円(画像クリックで拡大)

 路地裏にひっそりと灯る明かりにつられ訪れると、そこは小さな料理店「ひとくちや」。そこに集う人々が出会う小さな“ごはんの友”について描いたフルカラーコミック『ごはんのおとも』(たな著、実業之日本社刊)が売れている。著者は本作でデビューした新人で、コミックは2015年2月13日に初版6000部で発売。2カ月弱の4月上旬時点で累計部数が6万部を超えている。また発売直後は著者が画像サービスサイト、Pixivで作品を発表していることもあり、購入者は20代~30代女性が中心だったが、部数増加とともに40代、50代の女性へと広がりを見せているという。

 発売のきっかけは、編集を担当した実業之日本社漫画出版部の滝広美和子氏が作者のたな氏が個人的に発行していた1ページ漫画の同人誌を手にしたことから。その同人誌をそのまま本にするのではなく、フルカラーの長編漫画に仕上げた。

 「ごはんの絵のリアルさと、少女から老人まであらゆる世代・性別の心情を書き分ける物語の力に魅力を感じ、ぜひ長編で読みたいと連絡を取りました。1話完結ではなく、それぞれの登場人物がつながっていく連作短編の形式で、この本の世界に住みたい、(作中に登場する飲食店)ひとくちやに行ってみたいと思ってもらえるように、世界観の構築にはかなり気を配っていただきました」(滝広氏)。

 カバーはコミックスとしては高級な紙を使用し、手触りと発色を良くした。また透け感のある包装紙を別丁トビラとして1枚はさみ、挿絵の「給食の時間の教室」のざわめきがだんだん近づいてくるように演出し、あたたかみのあるレシピの手書き文字、映画のエンドロールのような奥付など、何度も読み返し、長年愛してもらえる1冊になるよう、すみずみまで気を配った。

 購入者からは「最近落ち込むことが多かったけど、おいしそうな絵に救われた」「心があたたかくなって、悲しい話じゃないのに涙が止まらなかった」など、単に食べ物がおいしそう、というだけでなく読んで癒やされている傾向があるという。

 今回の反響を受け、2016年2月予定で第2巻を発売することが決まっている。

(文/北本祐子)