テストステロンを増やして不調を改善しよう!

 前ページで触れたように、テストステロンが極度に少ないLOH症候群になると、性機能障害や抑うつなど多くの症状が表れる。しかし、少し低いくらいでは自覚症状は感じられない。それは高血圧や脂質異常症に似ている。

 「コレステロールがいくら高くても自覚症状は感じない。でも放っておくと動脈硬化が進むため、コレステロールを下げる薬をのんでいる人はたくさんいる。同じように、テストステロンが低めの人は注射や薬で補充するのが当たり前の時代が来るかもしれない」(辻村准教授)

 テストステロン値は帝京大学医学部附属病院(東京都板橋区)や聖路加国際病院(東京都中央区)など、「メンズヘルス外来」を設けている病院などで測ってもらえる。低かった場合、希望すれば補充療法も可能だ。一般に健康保険は利かないが、例えば辻村准教授が「男性更年期専門外来」の担当医を務めるメンズヘルスクリニック東京(東京都千代田区)では、1回2000~5000円でテストステロンの注射が受けられる。

 ただしテストステロン補充療法を実施すると、精子が作られにくくなることが知られている。米国で8709人の退役軍人を対象にした調査には、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるという報告もある(JAMA.2013 Nov 6;310(17):1829-36)。補充療法を受ける前に、考えられる副作用について医師に確認しておこう。

 もともとテストステロンは体内で作られているホルモン。外から補充するほどの効果は望めなくても、食生活や運動といった生活習慣を改善するだけでも分泌を増やすことはできる。テストステロンが減ればさまざまな不調が表れる半面、ヘルシーな生活を送ればテストステロンもたくさん分泌されるようになるわけだ。

 分泌を増やすには定期的にカラダを動かしたり、習い事を始めるなど、プライベートタイムの過ごし方が重要になる。詳しくは、この連載の第2回「男性ホルモンはこうすればガンガン出る!」を参考にしていただきたい。

今回、教えていただいたのは、
順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科の辻村晃先任准教授

1988年、兵庫医科大学卒業。米ニューヨーク大学に留学後、大阪大学医学部泌尿器科学准教授、同附属病院教授などを経て、2014年から現職。日本性機能学会専門医。日本生殖医学会指導医。メンズヘルスクリニック東京の「男性妊活外来」「男性更年期専門外来」担当医も務める。

(文/伊藤和弘、イラスト/うぬまいちろう)