大ヒットを狙おう! でも、絶対こけない

――競争が激しかったのに、ヒット作が続いた理由について教えてください。マーケティング、運営などの市場へのアプローチで他社との違いを感じる点はありますか。

日高氏: 弊社はもともと、広告代理店事業からスタートしていますので、マーケティングには力を入れるようにしています。広告にかける比重は他社よりも多いと思いますよ。

――スマートフォン向けゲームでも、“質”が求められるようになり、開発予算、開発人数も増えていると聞きます。そのうえにマーケティングの費用もどんどん増やしていかなければいけないとなると大変ですね。

日高氏: ですからヒットを狙っていても、大きな失敗が続くと致命傷になってしまいます。市場はまだ拡大しているので、この市場で生き残っていくためにも、社内では「狙うはパズドラ、モンスト級の大ヒット、でも絶対にコケない」ということを言い回っています。

――「絶対にコケない」ためにどうしているのでしょうか。

日高氏: 同じ失敗をしないようにすることです。過去に失敗したことを糧にして次に生かすことです。

 こうしたお話をすると、失敗した事例を集めてデータベースに蓄積し、社員全員に「見える化」しよう――みたいなことを考える人がいます。が、サイバーエージェントでは、そうしたデータ化はしません。失敗したことを仮にデータベース化したとしても、興味がなければ誰も活用しないからです。

――とすると、何をしているのでしょうか。

日高氏: 人にノウハウをためるようにしています。ノウハウを持った人をいかに育てるか、いかにそうした人たち同士を交流させていくかを考えています。

 具体的には、同じ職種の社員たちの交流会を積極的に仕掛けています。エンジニアだけを集めた交流会の「エンジニア・ナイト」をはじめ「プランナー・ナイト」、「クリエイター・ナイト」などいろんな社内イベントを定期的に開催しています。こうした場で、同じ職種の人たちが、お互いの失敗や成功事例を紹介しあっています。普段は日常業務に流されてほかのゲームのことなど気にもなりませんが、1度でもイベントで会ったことがある「知り合い」の失敗や成功となれば興味がわくんです。

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 興味を持つところからスタートして、普段からお互いのもつ経験を気軽にシェアできるようになると、6年間にわたるノウハウが少しずつ人にたまり、ノウハウを持った人同士が交流することで、組織に全体に、またゲーム内にノウハウが生かされてきているんだと思います。