SNSがバルブームを引き起こした?

今回はバルのお話。2005年くらいから一気に増えたそうです。写真はなんとなくバルで出てくる気がするアヒージョです。写真提供「無料写真素材 写真AC
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編集部(以下、編): 今は街にあふれる「バル」ですが、昔はこんなになかったですよね。

 バルの歴史が始まったのは2005年頃。恵比寿の「ティオ・ダンジョウ・バル」が火付け役ですね。同じビルの上階にあったスペイン料理店が、その店のウエイティングバーのような感覚で出したスペインバルで、スペイン料理が立ち飲みで楽しめた。今や居酒屋なんかのメニューにもよくある魚介などのオイル煮「アヒージョ」を世の中に認知させたのも、恐らくこの店です。ちなみに今は恵比寿から移転準備中のようです。

編: ということは、バルブームは10年前からジワジワと?

 ブームのきっかけはいろいろあったと思います。ただ、バル好きだったボクが ますますバルに足を向けるようになったのは、2011年の東日本大震災ですよね。こういうときこそ東京の経済を回さなくちゃという思いもあって、ボクはいろんな店にもせっせと通ってたんですね。でもブログに「フレンチに行った」なんて書くと「なんでこんなときに……」「不謹慎だ!」と、批判のコメントが殺到した。そんなときも「バルに行った」と書く分には、誰にも批判されないという不思議な親しみやすさがバルにはあって。

 葛飾区立石などの大衆酒場がクローズアップされたりしたのも同じころです。つまり震災をきっかけに「グルメ好きなら高くても人気の店に行くのが本物」から、「安くて美味しい店を知っててこそ本物」という方向にトレンドが大きく変わった。その流れで、バルの本格的なブームが来たと。

 もうひとつあの頃、東京でもみんなが寂しがり屋になりましたよね。で、1人でご飯を食べるなら、賑やかなバルへという人も増えた。実際バルなら女性の1人客もたくさんいますし、同じテーブルの知らない人とも気軽におしゃべりができる店も多いですから。

編: 順番が逆になりましたが、そもそもバルの定義って何ですか?

 同じ“Bar”でも、お酒を飲む「バー」とは違い、「バル」はスペインバルがルーツ。つまりバーと食堂が一緒になった店というのが一般的なバルの意味です。ボクの考えるバルは、「カウンターがあって、カジュアルに飲み食いできる店」。1人でもカウンターなら座りやすいし、お店の人ともしゃべりやすい。2人でも厨房で料理してる様子が見えるので、あれこれ話題に事欠かない。それからTwitterやfacebookなどで「○○なう」と店の名前と居場所を投稿すると、それを見た近くにいた知り合いが顔を出してくれたりするSNSつながりの途中合流が増えていますよね。バルってそうやって集まるのにも、すごく都合がいいんですよ。臨時参加でも、「ちょっとそこを詰めてもらえますか?」でOK、みたいな。席を予約するレストランだと、そうはいきません。

 一方、ジャンルはものすごく多様化しています。「俺のフレンチ」がその後バルブームに拍車をかけたのに始まって、ほかにもイタリアンバル、和バル、寿司バル、日本酒バル、肉バル、熟成肉バル、ホルモンバル、餃子バル……と、今は何でもあり。ジャンルに関係なく、敷居が低くて庶民的。それでいて、元高級店で働いていたシェフが腕を振るう本格的な味を楽しめるというのがバルですよね。

 いいワインだって、仕入れ価格にちょっとプラスした値段でボトルが楽しめたり、グラスなら一杯500円で楽しめるバルも多いです。そのグラスワインにしても、グラスになみなみついでくれる。これもバルのいいところですよね。