最近、発表会をあまり実施しないなど、携帯電話キャリアの中では盛り上がりに欠ける印象のソフトバンクモバイル。その背景には、国内市場の停滞に加え、親会社のソフトバンクが買収した米スプリントの不調が大きく影響しているようだ。ソフトバンクモバイルは、かつての勢いを失ったままとなってしまうのだろうか。

大きな動きがあっても発表会を実施しなくなった

 ソフトバンクモバイルといえば、ボーダフォンの日本法人を2006年に買収し事業展開を始めて以降、ハードとサービスの両面での新しい取り組みや、「白戸家」に代表されるユニークなプロモーションなど、孫正義社長による従来の携帯電話キャリアにはない大胆な戦略で注目を集めてきた。

 その手腕や取り組みには賛否もあり、さまざまな議論を呼んだものの、結果的には傾いていた事業を立て直し、国内主要キャリアの座を確固たるものにしてきた。

 しかし最近は、目立つ取り組みが減ってきているように感じる。それを端的に示しているのが、2014年5月の決算発表の場で、孫社長が、スマートフォンなど新機種・サービスの大々的な発表会を実施しないと宣言したことだ。以降、同社の製品・サービス発表は小規模なものにとどまるか、あるいはリリースが公表されるだけとなっている。従来プロモーションに注力してきた同社の傾向を考えると、筆者には疑問が残る。

 実は、同社の発表内容を追いかけていくと、いくつもの大きなサービス施策や、戦略的取り組みが実施されていることが分かる。特に大きなものとして挙げられるのは、1月にソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、ソフトバンクBB、そしてワイモバイルの4社が合併し、新しいソフトバンクモバイルが誕生するということだ。戦略上あえて分社化していたワイモバイルを合併したことは大きな変化といえるだろうし、固定通信を手掛ける2社との合併も、光ブロードバンドサービスの提供を見据えた大きな転換といえるものだ。

 その光ブロードバンドサービス「Softbank 光」と、モバイルとの同時契約によるセット割「スマート値引き」も、戦略的に見て大きな位置を占めるサービスといえるだろう。他社同様、NTT東西の「光コラボレーションモデル」を受けて提供されるものではあるが、従来別々であった固定・モバイルの契約を一体で進められるようになったことは、非常に大きな意味がある。

 しかしながら、ソフトバンク側は、これら大きなサービスや出来事に関しても、特に発表会を実施することはなく、リリースを出すだけにとどまっている。孫社長が壇上に立ってビジョンや戦略を強く打ち出し、積極的なアピールを繰り広げていた以前とは明らかに異なる態度をとるようになったのだ。

2月10日のソフトバンク決算説明会より。傘下企業4社の合併や光ブロードバンドサービスの提供など大きなニュースが続いているが、発表会などは実施されていない
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