いよいよ目前に迫ってきた「東京マラソン 2015」。高倍率をくぐり抜けて運良く当選したランナーも、さらに「来年は挑戦してみたい」という初心者の人も、気分が盛り上がってきているのではないだろうか。

 今回はすでにランニングをやっているという人にも、またこれからランニングを始めようという人にもお勧めのトレーニング方法として、最近注目されている「心拍トレーニング」を紹介したい。心拍トレーニングを行うことで、漫然と走り続けるよりも効率的に“ランナーとしての体”をつくり上げることができるのだ。

自分の心拍をコントロールして、運動に適切な強弱をつける!

 心拍トレーニングとは、その名の通り「心拍数をチェックしながらトレーニングを行うこと」を指している。ちなみに「心拍数」は心臓の1分あたりの拍動を示しているのだが、心拍数よりも「脈拍数」のほうが聞き覚えがある人が多いだろう。脈拍数は動脈壁の1分あたりの拍動を示しているが、健康な人ならば両者の数値は一致する。

 では、なぜ心拍数をチェックしながらのトレーニングが有効なのか? それは心拍数が体にかかる負荷を客観的な数字で表しているためだ。心拍数が高いほど、体への負荷が高い。運動中の心拍数をリアルタイムで計測し、体への負荷を知ることができれば、効率良く体を鍛えられる。

 注意したいのは心拍数と走るスピードの関係は、個人によって異なる点だ。例えば五輪出場を目指すようなトップクラスの選手と、健康維持のために走る市民ランナーでは、同じ「時速12km(1kmを5分で走る)」で走っても心拍数は市民ランナーのほうがかなり高い。逆に同じ心拍数で走ると、トップクラスの選手のほうが断然スピードが速い。

 心拍トレーニングでは、運動中の心拍数をいくつかのゾーンに分けて、それぞれのゾーンの心拍数を利用者が把握することからスタートする。それぞれの心拍ゾーンの心拍数は、最大心拍数(拍動が最も速くなった場合の心拍数)と安静時の心拍数から導き出される。下図の心拍ゾーンはオーストリア発のランニング・フィットネスアプリ「Runtastic」で使われているもので、安静時の心拍数が70bpm(beat per minutes)、最大心拍数が180bpmの人の心拍ゾーンを示している。

 各ゾーンは目的が異なり、ダイエットに有効な脂肪燃焼なら136bpm~147bpmの範囲の心拍数で走ればいいことになる。各ゾーンにあるカッコ内の数値は運動強度と呼ばれるもの。正確には、自分の限界(=最大心拍数)を100%とする「相対的運動強度」となる。このあたりは後ほどもう少し詳しく解説する。

運動強度は最大心拍数と安静時の心拍数から導き出される。それぞれのゾーンにおける心拍数の導き出し方は後ほど紹介したい(Runtastic社のデータを基に編集部で作成)

 心拍トレーニングで重要なのは最大心拍数を知ることだ。安静時の心拍数は簡単に測れるが、最大心拍数はそうもいかない。簡単な算出方法としては、「220-年齢」という計算式がよく知られている。ただし、個人差が大きく、特に高齢者やトレーニング経験の豊富な人などの場合、あまり正確な値にならないことが多い。

 計算式に頼らず、マラソンなどのトレーニングに最適な心拍数を知りたい場合は、医療機関などでトレッドミル(ランニングマシン)などを用いて計測する必要がある。「横浜市スポーツ医科学センター」では「ランニング測定」というサービスを実施しており、トレーニングに効果的なペースや心拍数などをアドバイスしてくれる(詳しくは次ページ下段囲み記事参照)。