イトメン「チャンポンめん」
1963年の発売以来51年間愛され続けるロングセラー袋めん。エビとシイタケの出汁と無塩製麺のあっさり仕上げで老若男女を問わず高い人気を誇る
商品詳細:http://www.itomen.com/product/brand/chanpon/
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冬の夜にどうしても食べたくなるアレといえば

 ここ最近になって急激に朝晩の冷え込みがきつくなり、夏の頃はあんなに愛情表現が下手で不器用だったお布団ちゃんが「行かないで、あなたぁ」などとぼくを離さないようになってきておりますが(って逆ですね)、こうなってくると俄然おいしくなるのがラーメンであります。

 白い息で冷え切った手を温めながら並んで食べるとんこつラーメン。
 スープの表面が油で覆われ、冷めずに最後まで食える旭川や家系もいい。
 いや、あえて寒風吹きすさぶ中、心もほっこり温まる屋台もたまらん。
 金属製のしぼり器でメキメキメキっとニンニク入れたろ♪ なんてね。

 そして深夜の仕事中に食う袋めん。
 迫りくる眠気を抑え込むために暖房は最小限。
 これ、実はかなり内側から体を冷やしてる行為。
 疲れと冷えで固まった肩や腰をゴリゴリいわせながらコンロへと向かう。
 しょぼしょぼする目をこすりながら鍋に湯を沸かし袋をガサゴソ。
 麺がほぐれる頃合いを見計らって玉子をポン、っと。
 丼で食おうか、いっそ学生時代よろしく鍋のままいってしまうか。
 あれはあれで風情もあるが、今夜はスープをぐいぐいやりたいからやっぱ丼で。
 丼に注ぎ込んだ完成品の湯気に包まれながらすするちぢれ麺。
 間髪を入れずあっつあつのスープをずびっと。
 むふ~、と漏れる鼻息ののち胃の中から体が温まり始める……

 どうでしょう、こういう冬のワンシーン思い当たりません?

 というわけで今回は、ぼくが俳句の偉い人なら迷わず冬の季語に認定してやりたい「袋めん」のお話です。気分が出るのでインスタントラーメンじゃなくて袋めんと呼ばせていただきますね。

 日本人なら食べたことのない人を探すほうが難しい袋めんですが、これはおそらく国民の半数以上の方が食べたことがないかもしれない、しかし知ってる人はこれじゃなきゃアカン! と愛してやまない一品をご紹介させてください。

その名は「イトメンのチャンポンめん」。

 イトメン? チャンポンめん???

 頭上にポカンと「?」マークが浮かんだ皆さんのために商品説明。名前こそチャンポンだが、長崎の名物のようなパンチの効いたとんこつベースにあらず。どちらかといえばタンメンを思わせるあっさり塩味。こってりに慣れ親しんだ昨今のラーメンフリークにとっては物足りなく感じるほどの薄味ながら、麺をすすり、スープを飲み進めるうちにじんわりとこみ上げる奥深く優しいうま味。

 これ単体でも当然うまいのだが薄味が功を奏し、どんなトッピングとも相性抜群。肉に魚介、野菜に玉子。これからの季節はキムチなんかもグッチョイス! 具のみならず醤油や味噌に豆板醤、カレー粉を投入し味すらカスタマイズしてしまう猛者、さらには麺をパスタ扱いし、粉末スープでドレッシングを作りサラダにしてしまう剛の者までいるという。

 それもそのはず、固有名詞としてのチャンポンではなく、単語としての意味である“何でも入れちゃう”が命名の由来なのである。

撮影のためにかつてない情熱を傾けて制作した一杯。野菜の色と質感が最大限発揮できる茹で加減。発色とプリプリ感を重視した下ごしらえが光るエビ。最大の力作はほんのりと黄身がのぞくポーチドエッグ。袋めん一杯に鍋3個使用(笑)
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 チャンポンめんを製造、販売するのは兵庫県たつの市に本拠を構えるイトメン。戦後間もない1945年創業。1963年に誕生したチャンポンめんは名古屋より西の近畿・中国・四国・九州のいくつかのエリア、そして北陸で50年を超える長きに渡りロングセラーとして愛されている。

 突然ではありますがワタクシ、生まれも育ちも石川県金沢市。北陸の小京都と呼ばれるその街でチャンポンめんを産湯に使い(←誇張)すくすくと育ち、高校卒業とともに上京。

 一人暮らしに胸ふくらませ意気揚々とスーパーに向かうも、袋めんコーナーにチャンポンめんの影も形もないことはおろか、売り場担当者に「は、なんすかそれ?」と言われ大いに落胆。

 一時は青雲の志を捨て帰郷すら考えたという(←最大誇張)筋金入りのチャンポンめん信者なのでございます。

 実際に石川県内のスーパーでは袋めんコーナーの目立つ一角を、あまたある有名ブランドを押しのけチャンポンめんが占め、特売の際にはどどーんとワゴンに山盛りされており、お子様からお年寄りまで知らない者はいない超メジャー袋めん。

 日本のどこでもサッポロ○番やチキンラ○メン(←一部伏字)などと肩を並べる商品だと信じて疑ったことなどありません。

 ですからぼくに限らず、石川県を離れて暮らす人の多くがチャンポンめんを誰も知らず、どこにも売っていないことに衝撃を受けるといい、帰省の際にはみな一様にどっさりと買い込んでくるのであります。