新たな決済手段で売り上げが増える

 米国では今、お金がアツい。

 具体的にはペイメント、つまり“決済”の分野がお金を生みそうだということで、投資家のお金がペイメント関連の企業に集まってきているのだ。

 米国では、過去2年で買い物の際にスマートフォン(以下、スマホ)で決済をする人が全人口の17%まで広がってきているそうだ。しかし、この数字は今後さらに増加すると考えられる。2020年には逆に、人口の25%が現金を持たなくなると予測されている。

 このような事情を背景に2014年11月2日から5日にかけてラスベガスで開催されたのが、全米最大のペイメント分野のカンファレンス「Money20/20」だ。今回は、参加費がなんと2500ドル(約28万円)と高額であるにもかかわらず、7000人の参加者を集め、400社もの企業がカンファレンスのスポンサーになり、エキジビションに出展した。

 さて、なぜ、Moneyのカンファレンスがこれだけのブームになっているのだろうか。私が理解したことを要約すると、「電子マネーやアップルペイなど新しい決済手段によって、小売店や飲食店の売り上げが増える」ということが、段々わかってきたということだ。

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 米国の電子決済の成功事例で一番有名なのは、スターバックス(以下、スタバ)のアプリだ。電子マネーとポイントカードを兼ねるスタバのアプリの利用者は、スタバでの利用額が増えることが以前から話題になっていた。

 Money20/20でも、スターバックスアプリは成功例として、さまざまな参加者から何度も紹介された。会場で発表されたリサーチデータでは、アプリ利用者のアプリ利用前後の追跡データから、1.5倍に増加したことが明らかになったという。

 これはもしスタバの店頭で、現金で代金を支払う人を全員アプリの利用者に替えれば、スタバ全体の売り上げが1.5倍前後に増える可能性があるということでもある。

 そこで、Money20/20に集結した7000人もの業界関係者が関心を持っているのは、以下のようなMoneyの未来に関するものだ。

* なぜ売り上げが1.5倍になるのか?
* 同じように成功するためにはどうすればいいのか?
* これから先、廃れていくのはどのような決済手段か?
* 勝ち組は誰になりそうなのか?

 そこで、今回は、4日間の会議に出席してみてわかったMoneyの最新事情について、要点をまとめてみたい。

 カンファレンスでのさまざまな発表を見た結果、分かったことは、新しいペイメントの技術を使った成功事例においては、どこのお店も売上高を大幅に上げることができたということだ。

 オンラインモール世界最大手のアマゾンの発表によれば、同社が提供するアマゾンペイメンツを導入した家具の販売店では、アマゾンペイメンツで決済する顧客の購入単価が30%高く、購入に至るコンバージョンレートは23%高いという。

 この2つの数字は、売上高の増加に掛け算で効いてくる。両方の寄与度を掛け合わせただけで、少なくともこのお店の売り上げは1.6倍になった計算になる。

 また、フェイスブックの発表では、フェイスブックを利用するアパレル店が分析したところ、フェイスブック経由で獲得した顧客に関しては実際に買ってくれる顧客の比率が、グーグルなど従来の検索よりも10倍も多く、しかも、購入単価も23%も高かったという。

 とにかく、カンファレンスの檀上に上がる発表者が次々と提示する「最新の成果」を聞く限り、最新のペイメント手法を利用すれば、売り上げがものすごく増えるというのである。そして、発表を聞くたびに、「なぜ、新しいペイメント手法を導入すると、お店の売り上げが増えるのか」がわかっていった。

 このように、アマゾンペイメンツ、アップルペイ、グーグルウォレットといった最新のペイメンツアプリを利用することで、お店の売り上げが軒並み1.5倍に増えるという新しい現実が見えてきたことで、米国のペイメント分野はにわかにアツくなってきているというわけだ。