3月に始動し、着々と商品化への道を進みつつある「新ジャパンメイド計画」。中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)が運営するRin crossingと日経トレンディネット、公募で選ばれた中小企業がタッグを組み、ヒット商品の開発を目指すという取り組みだ。
 これまでに決定しているのは、協力メーカーの木本硝子とともに、酒器を開発すること。そして前回、商品開発委員会が議論を重ね、酒器のコンセプト4つを考案した(詳しくは前回の記事参照)。今回、4つのコンセプトを木本硝子の代表取締役、木本誠一氏に提案。すると、木本氏から思いもよらぬ提案が返ってきた。

Rin crossingとは、消費財を手掛ける全国の中小企業に対する支援として、企業とバイヤーの間に入り、マッチングを行う中小機構の施策の1つ

 前回、商品開発委員会が木本氏に提案したコンセプトは下記の4つだ。

 (1)「大人のロックグラス」~自分の時間を再び取り戻した元少年たちへ
 ・主なターゲットは40代以上の男性ビジネスパーソン
 (2)「アニバーサリーグラス」~2人の記念日にパートナーの笑顔が輝く
 ・主なターゲットは30~40代の夫婦
 (3)「ご褒美グラス」~明日もがんばろう! そんな気にさせる至福の一杯
 ・主なターゲットは20代後半以降の「晩酌女子」
 (4)「マイグラス」~旅に出てもこだわりのグラスで自分に酔う
 ・主なターゲットは旅好きな男性ビジネスパーソン

 実際に制作を担当する木本硝子の木本誠一氏に、商品開発委員会がコンセプトを提案に赴いたところ、「どれも面白いと思います」と話しつつも、「こちらでも少し考えさせてほしい」という答えが返ってきた。

 商品開発委員会はマーケティングの視点で商品コンセプトを決めたのだが、それを形に落とし込むプロデューサーの木本氏にも考えがあってしかるべきだろう。商品コンセプトが否定されるのではないかと不安もあったが、木本氏から返ってきた意見は商品開発委員会を驚かせた。

 「マイグラス以外のコンセプトを、全部内包した商品を作ろう」というのだ。いったい、どのようなグラスなのだろう。

組み合わせで多種多様なニーズに答える

驚きのアイデアを披露した木本硝子の木本誠一氏

 木本氏に話を伺ったところ、その企画案はこういったことだった。

 「大人のロックグラス」と、「ご褒美グラス」(=ビール用のタンブラー)を両方制作する。それぞれ単品で購入することもできるし、セットでそろえれば「アニバーサリーグラス」にもなるというものだ。

 確かに、「大人のロックグラス」の想定ターゲットは男性、「ご褒美グラス」は女性。そろえると夫婦をターゲットにした「アニバーサリーグラス」になるという点はユニークな発想だ。セットでも単品でも購入できるというのは、ニーズが多様化する現代らしいと言えるだろう。

 商品開発委員会もこの提案に納得。とはいえ、そろえると「アニバーサリーグラス」になるには、何か仕掛けが必要だ。これについて木本氏からは、「ロックグラスとタンブラーに共通するデザイン要素を加えればいい」と、解決策をあらかじめ考えてくれていた。