キャリア各社の新料金プランが大きな話題を呼んでいる昨今。一方で、ここ最近注目を集めているのが、仮想移動体通信事業者(MVNO)の回線を用いて、月額1000~3000円台などスマートフォン(スマホ)が安く使える、いわゆる「格安スマホ」だ。新しいサービスや端末を次々と発表して盛り上がりを見せている。格安スマホに関する最近の動向と、今後に向けた課題について考えてみよう。

「イオンのスマートフォン」のヒットで相次ぐ新規参入

 スマホといえば「キャリアが提供するもの」というのが従来の常識であった。だが、昨年から今年にかけて、MVNOのSIMカードとSIMフリーのスマホを組み合わせて販売する、いわゆる「格安スマホ」の人気が急速に高まっており、大きな勢力になりつつある。

 その先駆けとなったのが、日本通信のSIMによる通信サービスと、LGエレクトロニクスのスマホ「Nexus 4」をセットにした「イオンのスマートフォン」。2014年4月にイオンが店頭販売した。端末は最新のものではなく、通信速度も128kbpsと、決して速くはなかった。それにもかかわらず、大手キャリアと同じく「090」、「080」の電話番号による音声通話ができ、しかも端末代込みで月額2980円という圧倒的な安さから人気となった。用意した8000台の在庫が1カ月で完売したという点からも、その人気の高さがうかがえる。

 この「イオンのスマートフォン」のヒットを受け、MVNO各社のサービスに変化が見られるようになってきた。MVNOでは音声通話による差別化を打ち出すのが難しいことなどから、従来、MVNOを手がける事業者の多くは「音声通話は不要だ」と公言するなど、従来型の音声通話サービスの提供には非常に消極的であった。それゆえ、データ通信と、それを用いた「050」の番号による、IP電話サービスの提供に力を入れていたのだ。

 だが「イオンのスマートフォン」のヒットにより、「スマホ向けにサービスを提供する上では、従来通りの音声通話サービスが必要不可欠」と判断したMVNOが増加。それにより、安価でも既存キャリアとほぼ同等のサービスを受けられるようになったことで、格安スマホへの注目度が一層高まった。

「ワイヤレスジャパン2014」のIIJ講演資料より。スマホへの広がりで音声通話に対するニーズは高まっており、サービスを導入するMVNOも増えている
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