食、医療など“健康”にまつわる情報は日々更新され、あふれています。この連載では、現在米国ボストン在住の大西睦子氏が、ハーバード大学における食事や遺伝子と病気に関する基礎研究の経験、論文や米国での状況などを交えながら、健康や医療に関するさまざまな疑問や話題を、グローバルな視点で解説していきます。
 近年、糖分を含まない「無糖炭酸水」の市場が伸びています。アルコールの割り材として、ハイボールブームを背景に販売数が増加したと言われていますが、現在では炭酸水を直接飲用する習慣が広まり、2013年の「南アルプスの天然水スパークリング」(サントリー)発売以降、2014年上半期にかけ、フレーバー炭酸を含め、その種類は増える一方です。
 広まった要因の1つが「健康・美容に良い」という説。その根拠と“影響”について、見ていきます。

1日どれくらいの水分を摂ればいい?

Photo:winnond
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 暑くなってきましたね。乾いた体を潤すには、定期的な水分補給が必須です。水分は、私たちの生命にとって不可欠で、体内で食べ物の栄養素の運搬や、廃棄物の排泄、体温の調節などの大切な役割を果たしています。

 ところで私たちには、1日どのくらいの水分が必要なのでしょうか?

 このシンプルな質問、残念ながら、シンプルな答えはありません。米国には「少なくとも、1日にグラス8杯(約2L)の水を飲みましょう」というルールがありますが、実はこれ、科学的な根拠がないのです。

 このルールは1945年の米国食品栄養委員会(Food and Nutrition Board) のガイドラインのなかの、「1kcal摂取するときには、1mlの水分を摂取する必要がある」という誤解に由来しています。ガイドラインに則れば、2500kcalを摂取する男性は1日当たり約2.5Lの水分の摂取が必要ということになります。

 その後、1日グラスに8杯の水が必要という考えに落ち着いたようです。覚えやすいので、今でも、一般的に人気があるルールでしょう。