画面の表示などを速くするため、auやソフトバンクなど大手キャリアが、スマートフォンに表示されるWebサイトの画像や動画などをあらかじめ圧縮する「通信の最適化」が、最近ネット上で大きな話題となった(関連記事はこちら)。通信の最適化を実施するキャリア側の狙いと、圧縮がどの程度影響をもたらすのかについて確認したい。

Webの画像が自動で圧縮される「通信の最適化」

 スマホでWebサイトを閲覧した際、多くの人が、「表示される写真や動画はパソコンと同じである」と思っていることだろう。だがキャリアによっては必ずしもそうとは限らない。その理由は、通信の最適化にある。

 通信の最適化とは、簡単に言えば、スマホでキャリアの回線を経由してインターネット接続する際、キャリア側でダウンロードする写真や動画のデータを圧縮して、容量を減らすことだ。容量が減ることでダウンロードにかかる時間が短縮され、その分、表示速度が速くなるわけだ。

 無論、画像や動画を圧縮するといっても、元の内容を大幅に劣化させるわけではなく、元の画像を大きく崩さない形での圧縮となっている。それゆえ、ぱっと見ではあまり違いが分からず、圧縮していることに気づいていない人も多いことだろう。

 だが、通信の最適化が実施されれば、ユーザーの意思とは関係なく、画像ファイルなどが自動的に圧縮されてしまう上、それを元に戻すこともできない。そのため、写真のサンプルなどは正しく再現されなくなる。また、大画面ディスプレーの機種で、高画質の写真を見る時などは、画像の劣化が気になってくる可能性もある。ユーザーに選択の余地がなく、圧縮されてしまうことから、通信の最適化を問題視する声も少なからず挙がっている。

 表示速度が速くなる一方、どのような形であれ、画像が劣化してしまう可能性があることから、メリットとデメリットとで論議が分かれる通信の最適化。では一体キャリア側は、なぜこのような仕組みを積極的に導入しているのだろうか。

本連載の過去記事の写真をパソコン(左)とソフトバンクモバイルのiPhone 5(右)でダウンロードしたところ。一見違いはないが、左が約137KB、右が約87KBと容量が小さくなっている
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上の画像の一部を拡大したところ(左右は上と同じ)。画像圧縮に違いが出ているのが分かる
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