近年、肌のトラブルを訴える人が増加。「体質だし、乾燥肌だから仕方ない」とあきらめてしまう人も多い中、肌のトラブル、実は「体質ではなく姿勢にある」と、新たに「アトピー発症機序理論」を提唱するようになった、ナビタスクリニック川崎の皮膚科専門医、山本綾子先生(日本皮膚科学会専門医)が、さまざまな皮膚病・肌トラブルについて解説する連載。
 今回(8回目)と次回(9回目)は前後編で、慢性蕁麻疹(じんましん)について、アトピー発症機序理論にあてはめて、考えていきます。

 皮膚科で診察していると、診ない日はないと言っても過言ではないのが「慢性蕁麻疹」の患者さん。

 風邪をひいたときなど、体調の悪いときに数日程度で治まる「急性蕁麻疹」ではなく、1カ月も数カ月も毎日のように出て、場合によっては数年も続くという、慢性蕁麻疹の患者さんは、実は少なくありません。さまざまな抗アレルギー剤を試してみてもなかなか蕁麻疹が治まらない、薬は効くけれど薬を中止するとすぐ再発するというケースもあります。

 今回と次回は前後編で、「治りの悪い慢性蕁麻疹」を完治させるためのヒントを、アトピー発症機序理論を応用して考えていきます。

どれくらい続くと慢性と呼ぶ?

 前述の通り、蕁麻疹は症状の出る期間によって、2種類に分けられます。

 まず、皮膚科で診察していると患者さんが「今日、蕁麻疹が出た」「数日前から蕁麻疹が出ている」と訴える、急性蕁麻疹。もう1つは患者さんが「数カ月前から毎日のように蕁麻疹が出る」などと訴える慢性蕁麻疹。具体的には、発症してからの期間が1カ月未満のものを急性蕁麻疹、1カ月以上のものを慢性蕁麻疹と呼びます。

 蕁麻疹の原因というと、「食べ物」を真っ先に思い浮かべる方が多いようですが、実際には食べ物が原因であるケースはさほど多くありません

 では、蕁麻疹の原因として、ほかに何が挙げらるのでしょうか?

 考えられるのは、ウイルスなどの感染症によるものや、薬(薬の副作用として)。これらが原因の場合、

 「いつから蕁麻疹が出ているか?」
 「どのようなときに蕁麻疹が出ているか?」
を把握することで、原因が見えてくることが多いものです。また、感染症が原因の場合に1カ月以上、連続で蕁麻疹が続くということはまれだと思われます。

 そのほかには、日光蕁麻疹、寒冷蕁麻疹、温熱蕁麻疹、コリン性蕁麻疹など「ある特定の刺激を受けたとき」に出る蕁麻疹もあります。こうした名前が付けられるタイプはまだ対処方法が分かりやすいのですが、実際の診察時に多いのは、「はっきりとした原因が不明」なのに、1カ月以上続く慢性蕁麻疹です。

抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬内服が一般的な治療法

 皮膚科での一般的な治療は、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬の内服です。これらは花粉症などでも処方される薬ですね。

 1種類の薬でピタッと蕁麻疹が止まれば、その薬を継続しますが、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬には種類がたくさんあります。ですから効きが悪い場合には、違う抗アレルギー剤を試してみたり、2~3種類を併用します。また、H2拮抗薬やトラネキサム酸などを補助的治療薬として使うこともあります。詳細は、日本皮膚科学会「蕁麻疹治療ガイドライン」で確認できます。

 急性蕁麻疹の場合は、薬を内服して蕁麻疹が出なくなれば、薬を中止してもいいのですが、慢性蕁麻疹の場合は、急に薬を中止すると再発することが多いため、徐々に減らします。例えば、1日2回服用する薬を処方されていたら、まずは1日1回服用に減らし、それで問題なければ、1日おきに“減薬”していきます。