今回のテーマ:動画撮影の機能を持つカメラやスマホを見ると、「720p」「1080i」「1080/60p」といった数字で説明されている。これは動画撮影の能力を示しているのだが、今回はこの数字の意味を解き明かす。

 最近のデジカメは、コンパクトも一眼レフも当たり前のように高画質の動画像が撮影できるようになった。カタログ(最近ではネットで見るのが当たり前になりつつあるが……)では、どれだけきれいな画像を撮影できるかを、「720p」だとか「1080i」、あるいは「1080/60p」といった数字とアルファベットで表現している。これは一体何だろうか。

 こうした動画像の規格は、かつてのアナログテレビ時代の規格を“引きずって”いる。画像の細かさである解像度は画像が縦に何ピクセル並ぶかで示すし、動きのなめらかさのほうは1秒間に何コマ撮影または表示するかで表現する。縦横ではなく、縦だけで解像度を示すのは、アナログテレビの画像が縦に何本もの「走査線」というものを積み重ねて画像を作っていたことの名残りなのである。

 アメリカや日本が使っていたNTSCというアナログテレビの規格は、この走査線の本数が525本で、画面の縦横比は4:3だった。表示枚数は毎秒30コマである。液晶が中心になった今風に言えば画面は700×525ピクセルということになる。ただし、画面のすべてを使うわけではなく端のほうはブラウン管の“黒枠”として残していたから、実際の画面はもっと小さかった。

 そのうちに日本のNHKでアナログのハイビジョンの開発が進んだが、こちらは縦の走査線数が1125本で縦横比率は16:9だった。こちらもブラウン管に黒みを残すのでこれよりも実際の画像は若干小さくなる。

 このような動画像の品質を示す表現方法が、デジタル化にあたってそのまま画像規格に持ち込まれた。

 ここでYouTubeにアクセスして、画面の下の歯車アイコンをクリックしてもらいたい。解像度を「144p、240p、360p、480p、720p、1080p」というように選べるようになっている。まず「p」という添え字を無視して数字だけに注目しよう。この数字は実は縦の解像度、つまりピクセル数だ。

 基本は480、つまり縦に480ピクセルの動画像だ。これはアナログテレビが実用的で実現できるほぼ一番高い解像度なのである。つまりアナログ動画とデジタル動画の相互変換に便利な解像度だったわけだ。それよりも低い数字は、まだデジタル機器が大容量の高精細データを扱えなかった頃に、480を割っていって使っていた解像度だ。12×12=144、12×20=240、12×30=360、12×40=480という関係があるので、画素を間引いて解像度を落とすための計算が簡単になる。

 さて、YouTubeでは、720と1080に「HD」と「高解像度だよ」というマークが付いている。このうち1080というのは、アナログハイビジョンの走査線本数1125本から、ブラウン管周囲の黒い部分を抜いた数字として決まった。縦横比が16:9だから、デジタルなら1920×1080ピクセルということになる。これが今の標準的なディスプレイの解像度だ。