NMB48が1位! 水着ジャケットのときより音楽ファンが増えているのかも?

1位を獲得したNMB48
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NMB48「カモネギックス」(通常盤Type-A)
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 1位はオリコンと同じくNMB48の8thシングル「カモネギックス」。個別握手券目当ての劇場盤を除くと売り上げは8割前後減少しますが、それでも十分1位になるタレントパワーがあるということでしょう。ただし、前作「僕らのユリイカ」(2013年6月19日発売)と比べると、このチャートの得点では35%ほど下がっています。2012年の初夏のシングル「ナギイチ」(2012年5月9日発売)に続く「ヴァージニティー」(2012年8月8日発売)のときにも、同じ減少傾向がありました。実は、どちらも初夏のシングルは水着でのジャケットやミュージックビデオが収録されていて、売り上げが1年のうちで突出しているのです。やはりそれだけビジュアルでの魅力は重要だということでしょう。

 「カモネギックス」は、近未来的な音や衣装に和のテイストを取り入れるという世界を睨んだような意欲作ですが(ちなみにこうしたAKBグループの勝負作では井上ヨシマサが作曲・編曲を手がけていることが多い)、レコチョクのシングルダウンロードでは2週連続TOP20入り(前作は1週のみ)しているので、ビジュアル目当てでパッケージを購入するファンは減っても、音楽ファンはむしろ増えているかもしれません。

ロック&フォーク系ファンはパッケージ好き? 星野源から岡村靖幸までランクイン

 2位は、星野源の6thシングル「地獄でなぜ悪い」。本人も出演し、長谷川博己の怪演が話題の同名映画主題歌ですが、彼はナチュラルな佇まいの音楽家としても俳優としても安定した人気があるうえに、音楽配信を行っておらず、それが男性ソロアーティストとしては数少ない連続TOP10入りの要因にもなっています。

 ロック系やフォーク系のアーティストやファンは、比較的パッケージやCDショップへのこだわりが強いのですが、さらにこのチャートだと、アイドルグループの複数販売効果が表われないので、今週9位のフジファブリック、先週3位のKANA-BOONなど、配信よりもパッケージで売れるアーティストの高ランクが目立ちます。

 個人的な注目は、1種類での販売で堂々10位にランクインした岡村靖幸の6年ぶりのシングル「ビバナミダ」。彼の本領発揮とも言えるファンクチューンで、すでに往年のファンには大ウケですが、2014年1月から放送予定のアニメ「スペース☆ダンディ」主題歌に決まっているので、新旧のファンを獲得したロングヒットとなることを期待しています。

やっぱり強い「あまちゃん」とAKB48

 今回も、4週連続TOP30入りした作品を探してみると、そういった自作自演系でもロングヒットのイメージの強い演歌系でもなく、20位の天野春子こと小泉今日子と27位のAKB48といった“アイドル系”の2作となりました。

 「潮騒のメモリー」は、前週に連続テレビ小説「あまちゃん」が最終放送週を迎え、鈴鹿ひろ美や潮騒のメモリーズでの同作の歌唱もバッチリ披露され、いったん21位まで下がったものの、再度TOP20入り。10週連続のランクインを果たすなど、まさに今年を代表する1曲と言えますよね。

 「恋するフォーチュンクッキー」は、握手券効果がなくなっても24位→29位→27位とロングヒットしています。フィリーソウル(フィラデルフィアソウル。ソウルミュージックの1ジャンル)を彷彿とさせる曲調や、覚えやすい振り付けの影響で、大人も子供も大満足のようです。この曲はダウンロードでも最新週まで9週連続TOP10入りで、カラオケチャートでも週間1位を獲得しています。CDでは13作連続ミリオンヒットとなっている彼女たちですが、このように音楽配信やカラオケでの大ヒットは2011年の「フライングット」以来なんと10作ぶりなのです。「AKBなんてCDが売れていても、何も曲を知らない」と豪語(?)する人でも、この歌はサビだけでも口ずさめてしまうのではないでしょうか?

もっとヒットしてほしいバンド系で期待の3人組“けふなろ”

 それにしても、ロック系でリリースのたびに健闘するのはミスターチルドレン、サカナクション、ONE OK ROCKなどほんのひとにぎり。ロックフェスティバルが盛り上がっているのと比例して、バンド系のヒット曲もたくさん出てほしいと思います。

 さて、そんな中、今月の注目作は16位に入った3人組バンドの“けふなろ”。現在は、東京、群馬、埼玉など、ライブ活動を行っているエリアに売り上げが偏っていますが(そのためか、実売では3000枚以上売れているのに、オリコンでは2作連続TOP100圏外となっています)、まさに普遍的なヒットとなりうる音楽性なので、今後に期待したいです。

 次回も、ヒット曲を探すためにヒットチャートを見つめます!

【今回の注目作】けふなろ
「明日に着がえたら」(第16位)
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 2003年に結成された、社会福祉の施設で働くメンバーのSUMI、KINYA、MAYUの3人を中心としたバンド。2013年5月1日にシングル「チョコレートの街」でデビュー。曲によって女性ボーカルのSUMIと男性ボーカルのKINYAでメインパートを分担していますが、音楽療法という目的からか、どちらも爽快な声が特長です。
 2ndシングルとなる本作は、「明日は笑おう」とやさしく語りかけるアコースティックギターやストリングスが印象的なミディアムテンポの軽快なポップス。今井美樹や古くはチェリッシュを彷彿とさせるSUMIの清らかな美声と、口ずさみやすいシンプルなメロディー、そして前向きな歌詞で、ショッピングモールのフリーライブで幅広い世代が手拍子をしながら和やかに歌っている姿が目に浮かびます。
 この雰囲気のためか、ライブの即売会場では握手目的でもないのに(笑)、人だかりができるほど。インストアライブや店頭展開がプッシュされたタワーレコードでは、週間8位にランクインしています。
 ちなみに、発売元は、ヤマダ電機の関連会社、クライムミュージックエンターテイメント。かつて(Zになる前の)ももいろクローバーや、Tokyo Cheer2 Partyのインディーズ時代を、ヤマダ電機におけるサーキットライブや店頭展開で支えてきた実績があります。けふなろも、さらに飛躍していきそうです。
つのはず まこと
 つのはず・まこと。1968年京都府出身。地元国立大学理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、1997年に何を思ったか音楽系広告代理店に転職。以降、さまざまな音楽作品に携わり、2005年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画(『エンカのチカラ』シリーズや、松崎しげる『愛のメモリー』メガボリュームシングルなど)をするかたわら、「日経エンタテインメント!」、共同通信、歌ネット、CDショップ大賞事務局などでも愛と情熱に満ちた連載を執筆中。Twitterは@t2umusic。
 2014年3月から「日経ビジネスオンライン」にてコラム「ヒットチャート・オタクが教える あなたの知らないヒット曲」の執筆を開始。