今回のお題は、ペンタックスリコーイメージングが2013年5月末に発売した高級コンパクトデジカメ「GR」だ。落合カメラマンは、今回もGRに一目惚れして発売日にゲットし、とても満足して日々持ち歩いているという。だが、人に「GRはどこが素晴らしいの?」と問われると、意外にも日々感じている素晴らしさを積極的にアピールする気にはならないのだという。

 良いと思った、あるいは自分の気に入ったカメラやレンズに関しては、その魅力を何とか分かってもらおうと(しっかり伝えようと)文字を連ねるのが普通だった。「○○だからイイんだよね!」「コレコレこういうところがこのカメラ最大の魅力なんです!!」ってなぐあいに、なんていうんだろう、「良いと感じたところの共有を求める(押しつける!?)」とでもいえばいいんだろうか、とにかく、そんなニュアンス、そんな気持ちで原稿を書くことが多かった。もちろん、今でも基本、レビューはそういうノリで書いている。9割9分は、そうだ。

 でも、不思議なことに、GRに関しては、なぜかそうしようという気がおきない。いや、GR自体はとても気に入っているんですよ。ベータ機を使う機会に恵まれ、あっという間にハートのど真ん中を射貫かれ、ソッコー予約を入れて発売日に無事入手、「やっぱりいいなぁ~」とかなんとか独り言をつぶやきつつ毎日持ち歩いているんだから。だいたい、ここに掲載の製品写真(私が購入したGR)が「予約特典のレッドリング付き」ってのが、自分でいうのもナンだけど、ヤラシーよね(笑)。「オレ、早期に予約して買っちゃったんだもんねー。いいだろー」って感じぃ? 欲しいものを手に入れた子どもみたいでちょっと恥ずかしいのだけど、GRっていうカメラは、少なくとも今のところ私の中ではそういうポジションにあるってコト。ええ、もちろんもうひとつの予約特典である「GRバッグ」も、鼻の穴をおっぴろげながら持ち歩いてまっせー。でっへっへ……。

ペンタックスリコーイメージングが満を持して投入した高級コンパクトデジカメ「GR」。撮像素子を従来の1/1.7型からローパスレスのAPS-C型に大型化し、画質や精細感を大幅に高めたのがポイント。本体の肥大化を最小限に抑えた点や、従来モデルで定評の操作性のよさを継承したのも注目できる。写真のレッドリングは、予約購入者にプレゼントされる特典で、標準はブラックとなる
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決して出しゃばらないが、撮影をしっかりサポートしてくれる点を評価

 でも、でも、そんなGRの良さを誰かと共有しよう、誰かに分かってもらおうという気には不思議とならない。どうしてなんだろう。GRが放っている(と私が感じている)魅力って、誰もが等しく享受できるものではないと無意識のうちに判断しているから? たしかに、GRってピンポイントを突くカメラだ。「数字(スペック)」にだけこだわっていると、魅力を感じにくいカメラであるような気がする。

 私にとってのGR最大の魅力は、スナップしているとき容易に昔の感覚を取り戻せるところにあった。肩肘張らず、考えすぎずに写真を撮ることができていたあの頃……。私の場合、具体的には高校生から20歳代前半にかけての頃なのだけど、撮りたいと思ったものを真っ直ぐな目線のままストレートにフィルムに焼き付けるという、いつの間にか忘れ去っていた(でも写真にとっては一番大切であるはずの)あの感覚が、GRを手にするとスッと戻ってきてくれるのでだ。

 カメラが自己主張しすぎないのがいいのかもしれない。こうしろ、ああしろみたいな説教じみた使い心地とはとりあえず無縁な、どこか飄々としているGRなのである。どんな撮り方をしてくれてもオッケー。カメラとしては、それに合わせて最大限「失敗」を防ぐようフォローします……みたいな、縁の下の力持ち的な機能、使い心地がほどよく、でもきっちりGRには備わっている。そういうところが「使っていていて気分が良い」につながっているのだと思う。

AFのラグを除けば、シャッターレスポンスは良好。撮りたい瞬間を遅滞なく撮ることに造作はない。AFも、極端に暗いところでなければ「待たされ感」はほぼ皆無だし、暗所でピントを拾う能力もまぁまぁ及第点だ(ISO100、1/350秒、F4.0)
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高感度で夜景に対峙しているときの高輝度部分の色再現にも不満は感じさせない。こういうシチュエーションを捕らえたとき、いわゆる“コンデジサイズのセンサー”との差が如実に出るように思う。大型センサーならではの「余裕」の表れだ(ISO1600、1/60秒、F4.0)
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ISO1600は完全に常用感度。比較的「寄り」の画であることも手伝い、NR(ノイズリダクション)によるディテールの損失もまったく気にならない(ISO1600、1/30秒、F4.0)
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