人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。
 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。
 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

【コンセプト】トヨタ役員も驚いた!

2012年末の発表会で登場した、新型14代目トヨタ「クラウン」の「ピンククラウン」
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王道の「クラウン ロイヤル」のグリル
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スポーティーモデルの「アスリート」はグリルにさらにアレンジが施されている
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 「なんて言うか、最初はどこかのキャラクターみたいにみえてしまって(笑)」とは、チーフエンジニアの山本卓さん。今、新型トヨタ「クラウン」が話題だ。発売後1カ月の受注台数は2万5000台と月間の販売目標台数4000台の6倍を超えた。

 話題となっているのは、ほぼ全車的なハイテク化もさることながら、最大のキーはデザイン。

 伝統の王冠グリルをパンパーをぶち抜いて大幅に縦型化。アウディやメルセデス・ベンツも顔負けのインパクトを備えた上、スポーティーモデルの「アスリート」は、王道の「ロイヤル」グリルにさらにギザギザアレンジが加えられ、まさに稲妻! だから前出キャラクターとはおそらくアニメ「ポケットモンスター」に出てくる「ピカチュウ」のことを指す。

 現物はデザイナー本来のイメージを生かすべく立体化がなされ、インパクトに加え高級感を持たせることに成功したが、それでも初めて見た役員は「なんとこれは……」みたいな感想ばかりだったという。実際、見れば見るほど衝撃的なカタチだ。

 年末の新車発表会でサプライズで登場し話題をさらったピンククラウンにしても、当初市販化は計画されてなかったが「リクエストが多かったので塗料を開発中です」と前述山本さん。とにかく前例ナシのチェンジが目白押しの新型14代目クラウンなのだ。