雑誌「日経エンタテインメント!」のコラムと連動するこのコーナー。毎月、1つのお題に沿って、これから大ブレイクしそうなニューフェースをピックップし、マーティが集中的に聴き込みます。「日経エンタテインメント!」では、そのなかでも特にユニークだという「イチ推し」を中心に紹介。そして、こちらの「日経トレンディネット」では、雑誌で紹介し切れなかった「さらにオススメ!」のアーティストについて、その魅力を語ります。

 日本の年末年始は、楽しい音楽イベントが目白押しだよね! 中でも、僕が一番大好きなのは、やっぱり「紅白歌合戦」です。米国にはあそこまで大規模の音楽イベントがないから、毎年ワクワクしながら見てるよ。

 紅白歌合戦は、今のJ-POPでどんな音楽が流行っているのか、傾向をつかむうえでも見逃せないイベントだよね。そこで今月は、昨年大みそかの紅白歌合戦に“初出場”した5組のアーティストをピックアップしました。年齢的にはベテランから若手まで幅広いけど、いずれもすでに大人気のJ-POPアーティストばかりです。

 この5組の中で、僕が「今月のイチ推し」に選んだのは、関ジャニ∞。バラエティー番組でも大活躍中で、今ノリにノッている彼らの“音楽的”な魅力については、雑誌「日経エンタテインメント!」2月号で詳しく紹介しているので、よかったらそちらもチェックしてみてください。

 ここではさらにナオト・インティライミ、斉藤和義、三代目J Soul Brothers、ゴールデンボンバーの4組のサウンドをチェック。彼らが今の日本で“愛されている理由”に、僕なりに迫ってみました。

ナオト・インティライミ
「しあわせになるために」
世界28カ国を515日間かけて1人で旅して回った後、2005年4月にシンガーソングライターとして活動開始。10年4月に、シングル「カーニバる?」でメジャーデビュー。「インティライミ」という名前は、南米インカの言葉で「太陽の祭り」という意味。昨年末の紅白歌合戦では、「Brave」(11年4月に発売された通算5枚目のシングル)を歌った。
 「しあわせになるために」は、11年11月28日に発売されたメジャー通算10枚目のシングル
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 この曲は、歌い手の優しいキャラがストレートに伝わってくる曲だね。ナオトさんの声がかなり癒やし系だし、曲の雰囲気も爽やかだから、僕の予想だと、女の子のファンが多いんじゃないかな。カップルで聴いたら、その2人にとって一生の思い出の曲になりそうだよね。

 曲全体の構成は、J-POPバラードの王道のパターンです。特に「Aマイナー/F/G/C」っていうコードの使い方は、洋楽ではあんまり使われないけど、邦楽ではしょっちゅう耳にする“ザ・定番”のコード進行なんだよ。メロディーやアレンジも優しい感じで、このまんま女性ボーカルが歌っても、全然違和感なさそうじゃん。

 外国人の僕が読んでも分かりやすくて、フレンドリーな歌詞にも感動しました。ナオトさんの作る曲は、いきものがかりの歌と同じように、小学生の子どもからお年寄りまで、幅広い世代に支持されていることが何よりすごいと思うよ。まさに紅白歌合戦にぴったりのアーティストだね。

斉藤和義
『月光』
1966年生まれ。93年にシングル「僕の見たビートルズはTVの中」でデビューし、今年でデビュー20周年を迎えたシンガーソングライター。11年11月にリリースした通算39枚目のシングル「やさしくなりたい」がドラマ「家政婦のミタ」主題歌に起用され、ロングセラーを記録。昨年末の紅白歌合戦でも同曲を歌った。
 「月光」は、12年5月2日にリリースされた通算40枚目のシングル。オダギリジョー主演ドラマ「家族のうた」主題歌だった
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 斉藤和義さんは、紅白は去年が初出場だったけど、今年でデビュー20周年のベテランなんだよね。僕は、シンガーソングライター系の人たちはあまり詳しくないんだけど、この曲はすごく面白かったです。

 外国人の僕の耳で聴くと、この曲は「ビートルズやボブ・ディランの雰囲気」+「日本的なメロディーセンス」の融合だね。ちょっと専門的な話をすると、この曲のビートルズっぽさは、「ディミニッシュコード」っていう、ちょっと暗くて不協和音っぽいコードから生まれていると思います。ビートルズは、このディミニッシュコードを「パッシング(経過)」コードとして、“橋渡し”的に挟むのが得意だったんだよ。

 ところが、この「月光」のディミニッシュコードの使い方は、途中で挟むんじゃなくて、メロディーの“メイン”として使ってるところが、米国人の僕からすると、すごく新鮮に聴こえます。結果として、ちょっとダークで不安定な時間が長く続くんだけど、日本的なメロディーとの相性は抜群です。

 たぶん斉藤和義さんは、洋楽と邦楽、両方の影響をどっちもしっかり吸収している人なんじゃないかな。洋楽のよさだけじゃなく、日本的なメロディーの素晴らしさもリスペクトしているからこそ生まれた名曲だね。