シグマ

35mm F1.4 DG HSM

レンズマウント:
キヤノンEFマウント、シグママウント、ペンタックスKマウント、ソニーAマウント、ニコンFマウント

発売日:2012年11月30日~
(対応マウントにより異なる)

実勢価格:9万9800円

 2012年秋に開催された写真機器の展示会「フォトキナ2012」で、シグマは新しいコンセプト「SIGMA GLOBAL VISION」を発表した。今後発売する交換レンズは、新しいコンセプトに基づいて開発やデザインがなされていくという。とりわけ特徴的なのが、大口径レンズなどの「Art」、一般的なズームレンズの「Contemporary」、高性能な望遠レンズの「Sports」という3つのプロダクトラインが設定されたことだ。

 新コンセプトの第一弾として11月に発売されたのが、今回取り上げる大口径の単焦点レンズ「35mm F1.4 DG HSM」だ。Artのプロダクトラインにカテゴライズされるレンズで、高級感のある鏡筒には「A」というシルバーのエンブレムが光る。

 シグマは近年、カメラとレンズの両方で意欲的な商品を次々と発売している。カメラでは、2012年の夏から秋にかけて発売したレンズ一体型の高級機「DP1 Merrill」「DP2 Merrill」の2機種が話題を呼んだ。交換レンズでは、2008年発売の「50mm F1.4 EX DG HSM」や、2010年発売の「85mm F1.4 EX DG HSM」といった大口径の単焦点が高い評価を得ている。50mmは僕も愛用しているが、前玉はスペックを考えると不思議なくらい大きい。光学性能にはトコトン妥協せず、周辺光量にもこだわった結果だという。それだけに画質は良好なのだが、それをメーカー純正レンズよりずっと手ごろな価格で発売しているところがまたシグマのすごいところなのだ。

シグマが2008年に発売した「50mm F1.4 EX DG HSM」。実勢価格は4万5000円前後
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2010年に発売した「85mm F1.4 EX DG HSM」。実勢価格は7万8000円前後
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 そのシグマが心機一転で取り組んだレンズの第一弾とあって、この35mmには発表時から期待していた。その描写性能は、想像以上だった。絞りを開けたときのボケ味はふわっととろけるよう。絵柄によってはわずかにガサつくこともあるが、大口径広角レンズとしてはきわめて高いレベルだ。さらに絞れば、緻密な描写でフルサイズセンサーの解像力を存分に引き出してくれる。単焦点ながら、多彩な表現ができるレンズである。

早朝の船着場。尾道市街と対岸の向島を結ぶ渡船から、自転車に乗った高校生や仕事に向かう大人たちが慌ただしく走り出す。完全な逆光だが、ゴーストやフレアはまったく見られない(EOS 5D MarkIII使用、ISO100、1/250秒、F8)
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35mmという焦点距離は、本来さほどボケ味が生まれない。だが、F1.4となれば話は別。周辺光量の低下はなだらかで、F2.8まで絞ればほとんど目立たない(EOS 5D MarkIII使用、ISO100、1/8000秒、F1.4)
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尾道といえば、あちこちで猫に会えることでも有名だ。これも、絞り開放でボケ味を生かしてみた。100%に拡大すると、毛の一本一本を優しく描写しているのが分かる(EOS 5D MarkIII使用、ISO100、1/5000秒、F1.4)
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 僕は、長らくキヤノン純正の「EF35mm F1.4L USM」を愛用してきた。2002年発売というフィルム時代末期のレンズだが、高い描写力で今も根強い人気がある。だが、10年間のギャップはやはり大きく、シャープネスや逆光時の描写はシグマが明らかに上。しかも、実売価格はシグマの方がなんと約5万円も安いのだ。

 今後、ニコンFマウント用も発売予定とのことだが、ニコン純正の同スペックレンズ「AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G」は2010年発売と比較的新しい製品だ。最新ニッコールとどれくらいの違いがあるのかが、気になるところである。