全3種類。シングルタイプ(262円)は持ち手が竹のように加工されており、携帯タイプ(210円)はクリップ付き。また、黒墨と薄墨の慶弔両頭タイプ(315円)は、小さめの文字を書きやすいように、他の2種類よりも若干穂先が細い作りになっている。全国の文具店、スーパー、百貨店、書店、一部のコンビニなどで販売している(画像クリックで拡大)

 お礼状や宛名を書く際、筆文字で一筆添えられれば格好いいもの。そんなときに活躍してくれそうな筆ペン「双筆」(そうひつ)が売れている。プラチナ万年筆(東京都台東区)が初心者でも簡単に筆文字を書けるよう、書道家・武田双雲氏と共同開発。2012年9月21日に発売し、2カ月の出荷本数は同社の普及価格帯の筆ペンに対しておよそ2.3倍という。

 筆の先端部分は柔らかさと弾力性があり、根元部分はコシがあるという構造が特徴だ。これにより、筆ペン初心者でもトメ・ハネ・ハライが簡単に表現できる。また、インクの量が、筆の中心部分から外側へ行くに従いだんだん少なくなるように設計されており、字を速く書けばかすれ、止めたときにはインクが十分に付くという毛筆の使用感を再現した。

 企画から商品化までは約1年半。「毛筆の感覚を表現するために、この商品の筆部分には、硬さが違う素材を2種類使っているんです。筆ペン1本に複数の素材を使ったのは、弊社では初めての試み。どんな人にでも書きやすい硬さのバランスに仕上げるために、それぞれの分量を変えた試作品を5本作り、実際に双雲先生の書道教室で試してもらいました。そこで特に書道初心者の反応を見て分量を決めています」と同社企画部の柳迫隆司氏が教えてくれた。

 また、同商品にはもうひとつの隠れたポイントがある。「なかなか気づいてもらえないのですが、実はインク部分に墨の香りを入れています。昔、小学校などで墨をすった時の懐かしい香りを思い出して、心を落ち着かせて書いてもらいたいという密かな思いがあるんです」と柳迫氏。

 購入者からは、「筆文字がうまくなったような気がする」などの声が上がっているそうだ。今後同社では、素材の分量をかえたペン先を何種類か作り、さらに硬さ・柔らかさにこだわった商品を展開していきたいとのこと。新たな書き味の筆ペンが生まれる日は近いかもしれない。

(文/廣野順子=Office Ti+)