今回のお題は、キヤノンのミラーレス一眼「EOS M」だ。落合カメラマンは、発表時のファーストインプレッションでAF(オートフォーカス)を中心に不満を感じていた。だが、改めてじっくり使い込んでみると、不満の要因は単なるAFの遅さではないことが分かった。

 初対面の第一印象があまり良くなかったEOS M。当サイトのどこかに、そのときに書いたモノが残っているハズ(キヤノン「EOS M」、プロカメラマンが触った実感は?)。アレは、複数他社のミラーレス機を日常、愛用してきている私の正直な印象だった。

 あのとき抱いた刺々しい思いは、実際に使ってみるとどう変わるのか? EOS Mのインプレッション記事が大方、世の中に出尽くしたであろう今、改めてその辺をチェックしてみようってのが今回のテーマである。

キヤノンの「EOS M」。カメラ量販店では、レンズ2本とマウントアダプター、外付けストロボが付属するダブルレンズキットの価格が8万円前後(+ポイント10%還元)にまで下がっており、値ごろ感が増した
[画像のクリックで拡大表示]

AFの挙動のバラつきが、AFの遅さ以上にイライラを募らせる

 発表直後から「遅い」と言われ続けてきた問題(?)のAFは、「これならノープロ!」って感じでほとんどストレスを感じさせることなく合焦する……こともある。でも逆に、やっぱり「なんじゃこりゃ!?」とイライラさせられることも。総じて、発表会場で触ったときより少し速くなっているような気にさせる仕上がりではあるのだが、手放しで「コレでOK!」って感じにならないというのが正直なところだ。

 いろんなシチュエーションで使ってみて分かったのは、AF動作にかかわる“感触のバラつき”がイライラを増大させるってこと。普通に明るくコントラストもハッキリしている被写体にカメラを向けているときは、グググ、ピッと、まぁまぁ小気味よくピントを合わせてくれる。その反面、暗いときや低コントラストな被写体に対峙しているときは、多くの場合ズ、ズ、ズ、ズ、ズ………ピッ!ってな感じの“牛歩AF(速度低下があからさま)”になり、しかも、ズ、ズ、ズ………となったときは、結果的に赤枠が出る(ピント合わせ不可になる)ことが少なくない。これら「さっきとはぜんぜん違うじゃーん!」的な反応や動作が、使う者をイラッとさせるのだ。

 例えば「いつでもどこでもAFラグ1.5秒でっせー(遅っ!!)」みたいな、覚悟を決められる、ある意味リズムをつかみやすい、予測が十分に可能な、その気になれば先読みレリーズも不可能ではない「100%マジな遅さ」ならば、人間、慣れることも諦めることもできる。でも、ときにそこそこ速く、ときに遅く、オマケに実態は「迷うときに限って激遅(まぁ、これは理にかなった動作なのだけど)」、さらには「激遅AFに陥っているときは、その数秒後かなりの確率で白旗を揚げることになる(ピント合わせ不能)」という動作では、結果イライラを量産することになってしまうワケ。

 カメラのAFは、「迷うときもスピーディーに迷ってほしい」と個人的には思っている。丁寧にピントを拾おうとしている姿勢は大いに評価すべきものではあるのだが、反面、ピントが合わせられませーん!と白旗を揚げるならば、粘らず速攻で諦めてもらった方が現場ではありがたい。

 例えば、オリンパスイメージングの「OM-D E-M5」も、AFが迷うようなシチュエーションではAFスピードが明らかに落ちる。でも、通常時のAFがズバッと高速なので、AFスピードが落ちたとしてもまだ速い。だから、迷うときも迅速に迷うとの印象を持つことができる(ただし、E-M5にパナソニックの「LUMIX G VARIO 100-300mm F4.0-5.6」を装着して水銀灯照明下でスナップ的な撮影をしようとするなど、特定の条件下では激遅AF→測距不可に陥ることアリ)。その点、EOS Mは、通常時のAFが「遅くはないが速くもない」レベルにあるため、迷うと遅さが際立ってしまう。これは、あくまでも他のミラーレス機と比較しての印象ながら、フィーリング面では余計に損をしている感じではある。

 要は、動作の丁寧さとピントが「しっかり合う」までの所要時間のバランスが使用感を左右するってことなのだね。超スロー動作で迷った挙げ句、「ごめーん、ピント合わなかったよ~、テヘペロッ!」では、どうしても舌打ちする回数が増えてしまうということ。もちろん、ピントが合っていないのに「合いました~」って合焦マークを点灯させるよりは100倍マシだけど…(状況いかんによって、どのカメラにもそうなる可能性はあるわけですが)。

 EOS MのAFは、単純に「遅い」のではなく、つまりはそういう思いを抱かせるAFである…というのがワタシ的な結論だ。だから、AFの絶対的なスピードを上げなくても、「AF動作速度の見かけ上の均一性を高める(合焦に至るまでの所要時間の振れ幅を小さくする)」だけで、印象は大きく変わるような気がする。大切なのは、実測された数字じゃなくてフィーリング。どんな条件下でもほぼ同じ感触で使えれば(実際には違っていても同じであると錯覚できるような動作を演出すれば)、先ほどもいったとおり人間、慣れちまうもんです。ま、言うのは簡単の典型ではあるので、これ以上はナニも申しませんが…。

一度ピントが合ってしまえば、その後のシャッターレスポンスや連写は迅速にして軽快。なので、私は結局「置きピン」を多用することになってしまった。そうすれば、ここぞと思った瞬間を遅滞なく捉えることに造作はない。いつも以上の先読みが必要になるけど…(EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM使用、ISO100、1/500秒、F4.5)
[画像のクリックで拡大表示]
昼間ではなく、ナトリウム灯の光を受けている夜間撮影。カクテル光線の下でも、おおむね期待通りの働きを見せる優秀なオートホワイトバランスだ(EF-M22mm F2 STM使用、ISO6400、1/20秒、F2.8)
[画像のクリックで拡大表示]
プログラムAEで撮影したら、絞りがF10までガッツリ絞り込まれてしまったのだが、等倍鑑賞での精細感重視なら絞り優先AEでF8ぐらいにとどめておいた方がベターかも? ともあれ、ISO100時の遠景描写はこんな感じ(EF-M18-55mm F3.5-5.6 IS STM使用、ISO100、1/250秒、F10.0)
[画像のクリックで拡大表示]