雑誌「日経エンタテインメント!」のコラムと連動するこのコーナー。今月は『NHK紅白歌合戦』に初出場が決定! 発売中の「日経エンタテインメント!」1月号では表紙を飾っているももいろクローバーZにフォーカスします。その魅力にホレこみ、カバーアルバムまで作ってしまったマーティが、“弾いて分かった”そのサウンドの秘密と、自身のカバーアルバム制作の裏側を語ります。

 2012年のJ-POPシーンを振り返ってみると、僕が一番どっぷりハマったアーティストは、やっぱり、ももいろクローバーZでした。ももクロの曲には、音楽的に深い仕掛けがいっぱいあるから、アイドルファンだけじゃなく、プロのミュージシャンたちの間でもすごく人気が高いんだよ。

 彼女たちが表紙を飾っている「日経エンタテインメント!」1月号では、「J-POPメタル斬り」の「年末スペシャル」として、そんな「ももクロサウンド」の魅力を僕なりに分析しています。初出場が決まった『紅白歌合戦』の予習にもなるかもなので(笑)、よかったらチェックしてみてください。

 実は、僕は最近、ももいろクローバーZの人気曲をメタルでカバーする新プロジェクト「鉄色クローンX」のアルバムでギターを弾いて、プロデュースも担当しました。そこで今回は、「年末スペシャル」のさらに続編として、このアルバムが生まれたきっかけと、僕が特に気に入っている3曲のカバーソングの聴きどころを紹介したいと思います。

鉄色クローンX
「鉄色クローンX」
「行くぜっ!怪盗少女」や「ピンキージョーンズ」、「労働讃歌」など、ももいろクローバーZのヒット曲をメタルでカバーした異色のプロジェクト、鉄色(メタル)クローンXのアルバム。デスボイス満載のボーカルは、台湾のブラックメタルバンド「ソニック」のフレディが担当。マーティは、全曲でギターを弾いている他、プロデュースも手がけた。発売中。(極辛レコーズ)。
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 ももクロのヒット曲をメタルでカバーしてみようと思った最初のきっかけは、2011年のクリスマスに、彼女たちのさいたまスーパーアリーナ公演に飛び入り出演したときの体験でした。そこで僕が一番びっくりしたのは、お客さんたちの声援がものすごく激しかったこと。会場中のファンが熱狂的に興奮して叫びまくっていて、「これって、メタルのライブみたいじゃん!」と思ったんだよ。

 アルバムの全曲でボーカルを担当してくれたのは、台湾のブラックメタルバンド「ソニック」のフレディです。彼とは2012年の夏のフジロックで初めて共演したんだけど、実は、彼は僕以上にマニアックなももクロファンだったんだよ! ももクロが台湾でもそんなに有名になっているなんて、ほんとにびっくりだよね。

 フレディは、この鉄色クローンXで“ひとり5役”のボーカルを担当して、5種類のデス声を歌い分けてくれています。よっぽどのボーカルテクがないとできないことで、今回のプロジェクトも、彼の存在があったからこそ実現できたんだよ。ときどき、怪しい台湾語も混ざっているけど(笑)、ジョークではなく、本気度120パーセントのカバーアルバムに仕上がっているので、ももクロファンの方は、ぜひ聴いてみてほしいな。

ももいろクローバーZ
「Z伝説~終わりなき革命」
11年7月6日にリリースされた通算4枚目のシングル。セリフのパートでアニソン歌手の水木一郎と声優の立木文彦が参加したことでも話題になった。東京ジョイポリスCMソング。
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 ここからは、今回のアルバムで特に注目してほしい“自信作”の3曲をピックアップして、ももクロのオリジナルの魅力と、僕が作ったカバー版の聴きどころを紹介していきたいと思います。まず1曲目は、「Z伝説~終わりなき革命」です。

 この曲のオリジナルバージョンは、5人のメンバーの自己紹介になっている歌詞が最高だよね。洋楽のロックでは絶対にありえない歌詞だし、ファンの間でもすごく人気の高いナンバーだから、絶対にカバーしなくちゃと思いました。

 カバーするときに大変だったのは、オリジナル曲の“キラキラした輝き”を、いかにメタルにするか?という問題でした。メタルと“ハッピーな気持ち”って、本来は真逆の世界観じゃん。でも、いろいろ試行錯誤した結果、最近よくコンビニで売っている“新食感チョコ”みたいに、“キラキラ感”+“どメタル”の世界を融合した、今までにない新しいジャンルを生み出せたと思うよ。

 あと、この曲のラストのギターソロは、内容とスピードを考えたら、ほとんど不可能に近いようなプレーになっています。誰かがコピーしようとしたら、かなり頑張らないと無理なんじゃないかな。ここまで難しいフレーズをここまで速く弾いたことは、僕の全キャリアの中でも、たぶん初めてです。ももクロの5人のハイテンションに刺激されて、自分のギタープレーの限界を押し広げることができたと思うよ。