――東南アジアでは韓国勢の人気も高いですね。

相馬:  シンガポールもK-POPの人気がすごいですね。一方でインドネシアはバンド熱が高く「J-ROCK」で仕掛けられると面白いかなと思っています。周辺で一番受けそうなジャンルのものを狙っていこうと思います。シンガポールで仕掛けるとその周辺国にSNSなどを通じて一気に広がりますから。

 ただ絶対的に足りないのは、K-POPのような国を挙げての展開です。1980年代、90年代はシンガポールをはじめとした東南アジアの国々でも日本のテレビドラマなどが放送されていました。その当時は例えば、ドラマの主題歌を歌った「CHAGE and ASKA」さんなどもすごい人気だったんです。日本の番組が諸事情で各国のテレビ局などで簡単に放送されなくなってから、入ってきたのが韓国のコンテンツです。

 今は、圧倒的に日本のエンターテインメントが足りないと思っています。シンガポールは日本に好意を持ってもらっている国だし、流行りすたりが早い国なので、風向きはいずれ変わるのではと思います。

――現地ではアーティストを発掘しないのですか。

相馬:  シンガポールでの人材発掘も考えたいと思っています。シンガポール、マレーシア、インドネシアなど、現地の才能のある人たちとの出会いは大事にして、マネジメント事業もやっていきたいと考えています。プロダクション業務では、日本の仕組みはしっかりしています。こうしたシステムを現地と共有するやり方も面白いのではと思います。

――これまで海外展開をやってみて難しいと感じていることは何ですか?

相馬:  海外展開で難しいのはまず言葉です。K-POPのアーティストはメンバーが必ず各国語をマスターしていて、英語、中国語、日本語とそれぞれを話す担当がいます。日本のアーティストが海外で活躍するには、現地の生活風習にあわせてインタビューに応えたりする能力が必要になってくるでしょうね。英語でMCもしなければいけないし、その国の歴史などを勉強して、それを踏まえた話をしなくてはいけません。

 独特の個性も大切だと思います。キャラクターがないと、吸引力が低いかもしれません。Perfumeは、振り付けと3人のキャラクターのオリジナル性が高いですよね。今年AFAに出演したBABYMETAL(異色メタルアイドル「ベビーメタル」はなぜ人気? “仕掛け人”を直撃!)もオリジナリティーが高いグループだと思います。AFAでのイベントなどについてもFacebookでしか宣伝していないのに、かなりの人が集まりました。簡単にいうと[Originality」「Localization」「Language」が大事だと思います。

AFAで初めて海外のステージに立ったBABYMETALはアイドルグループ「さくら学院」のメンバー3人が「重音部」として活動する派生ユニット
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――今後はどのようにアジア展開を加速するのでしょう?

相馬:  とにかくアミューズとしても事業を始めたばかりで、今リサーチ中の段階です。ただ言えることは、その場で決断できる体制が重要だということです。海外展開はスピードが大事です。現地での問題を日本に持ち帰って検討している時間はないので、責任者が現地にいることが重要です。いつまでにどうするかという話しにすぐに持っていかないといけません。

 今後はブランチではなく強い拠点となる現地法人を作れればと考えています。その拠点は基本的には日本のアーティストの情報発信元ですが、、現地の人たちとのコラボレーションをやっていくのも大事だと思っています。まず現地の人に信頼されて「アミューズのアーティスト、音楽・舞台・映画はいいよね」と言われないといけません。

 将来的には日本のグループがアジアツアーやるときに、台湾、香港、クアラルンプール、ジャカルタ、シンガポール、と回るようになるのではないでしょうか。AFAでは、Facebookで宣伝をしただけでファンが集まりましたが、今後はアーティストの知名度を上げるプロモーションをもう少し並行してやっていかなければいけないと思います。

(文/吾妻拓=日経トレンディネット)