くるくると巻物のように収納物を巻き取るロールタイプのペンケースは、使いやすいし風情もあって人気は高い。しかし、ペンケースをロール型に仕立てる場合、ペンを挿す部分の下部を縫うスペースが必要だったり、様々な筆記具を収納出来るようにサイズに余裕を持たせたり、上部の被せを付けたりで、実際に収納するペンのサイズや本数に対して、かなり大きくなってしまう。そのため、出来上がりが大味になり、実際に手に取ると写真で見た印象と違っていて、ちょっとガッカリしてしまう事も多いのだ。

 さらに革製だと、素材の厚みもあるので、丸めたとき、やけにかさばる事も多い。ペンケースとしては、機能的にもスペース的にも、実はあまり良い形ではないのだ。そのため、多くの要望を受けながらも、ロール型のペンケースを作っていなかった革小物司、岡本拓也氏が、遂に、その欠点を克服するアイディアを得て作り上げたのが、この「ドルクス・ロールペンケース」。革を知り尽くした岡本氏が、満を持して作った、新しくて、しかし、その構造がどこか懐かしいペンケースなのだ。

ドルクス ロールペンケース(T.MBH、実勢価格2万8000円) サイズ:28cm×28cm
[画像のクリックで拡大表示]

 「一言で言えば、革の風呂敷」と岡本氏。その風呂敷状の革の上にペンを差し込む革製のシースが取り付けられている。そこにペンを差し込んで、左右の革を畳んだら、後はくるりと巻いて、シルバーのリングの中に革の端を差し込めば全体がとまる構造。風呂敷をキレイに包むのは難しいが、このリングに通す構造だと、不器用な人でも簡単だ。しかも、全体を包むスタイルなので、中に入れたペンの大きさに合せた最小限の大きさに収まるのが特長だ。「このアイデアを思いついたからこそ、ロールペンケースの製作に踏み切れました」と岡本氏。シンプルに見えて、革の端にはステッチが入っていたり、銀製のリングも岡本氏が型を手作りしたものだったりと、細部へのこだわりが行き届いて、製品としてのクオリティーは非常に高い。

 シンプルな構造だからこそ重要な革素材は、柔らかく内部のペンを包み込むラムスキンを採用。そのしっとりした触り心地の良さとソフトな質感は、ペンを守る素材としても最適。革ならではの丈夫さもあり、それでいて軽量でもある。「革で風呂敷を作るなら、この革だと考えていた」(岡本氏)のだという。

様々な筆記具が収納できるようサイズを大きくした
[画像のクリックで拡大表示]

 ペンの差し込み口は4つなので、筆記具4本を収納するケースなのだが、全体を包む構造なので、ペンシースの上にもペンや文房具を収納できる。そのまま包んでしまえば、まるで道具入れのように使えるわけだ。しかも、それを手の平の上でも展開出来る軽さとコンパクトさ。開けば中を全て見渡せるから、アクセスも速いし、収納もあっという間。従来のロール型ペンケースにあった、くるくる巻く作業の多少の煩わしさが無い。「ラグジュアリー感を演出しつつ、使って初めて分かる便利さと、長く愛用出来る使い心地の良さ」にこだわるのは、岡本拓也氏の一貫したモノづくりの姿勢だ。

女性向けのパープルもある
[画像のクリックで拡大表示]
連載「アイデア、技が光る! 逸品のこだわり」で紹介している商品は、日経BPセレクションから購入できます。

(文/納富 廉邦)


「日経トレンディ」12月号のご案内
【第1特集】「2013年ヒット予測ランキング」
【第2特集】「2012年ヒット商品ベスト30」

日経トレンディ 日経トレンディ 12月号
11月2日発売
特別定価:650円(税込み)
発 行:日経BP社

日経BP書店で買う

AMAZONで買う