『油を使わずヘルシー調理!ポリ袋レシピ』(著/川平秀一、発行/アース・スターエンターテイメント、発売/泰文堂)1050円。ポリ袋とお湯を沸かした鍋があれば、肉、魚、野菜、スープ、ご飯、麺、デザートとさまざまなメニューが完成する(画像クリックで拡大)

 ポリ袋を使って調理するレシピ本『油を使わずヘルシー調理!ポリ袋レシピ』が話題となっている。企画・編集のアース・スター エンターテインメント広報の木村麗子氏によると、発売は2012年8月23日。9月19日に朝の情報番組で「非常食にもおすすめ」と紹介されたことから注文が殺到した。その日のうちに品切れ状態になり、増刷が決まったという。

 この調理法は、一流ホテルや病院食、介護食にも採用されている真空調理法を家庭向けにアレンジされたもの。食材と調味料をポリ袋に入れて空気を抜き、袋の口をクルクルと巻くことで半真空状態にして、お湯を沸かした鍋に入れるだけというシンプルさが人気の秘密だ。ごま油、バターなどを除き、基本的に油を使わない。著者の川平秀一氏は、もともとはフランス料理のシェフ。国内のリゾートホテルのシェフなどを経て、現在は誰もが簡単に作れるポリ袋レシピ「パウチクック」の普及に取り組んでいる。同書には日常の食卓に並ぶ和食や洋食、中華のメニューをバランス良く集め、「炒めないチャーハン」「揚げないヘルシーから揚げ」などのアイデアメニューも満載。密封状態で調理することで、「栄養分が逃げない」「調味料が減る」「塩分やカロリーを抑える」「軟らかく仕上がる」などのメリットがあるという。塩分やカロリーを通常の調理法の数値と比べて表記しているほか、調理時間も明記されていて分かりやすい。

 気になるのは、“ポリ袋は加熱して安全なのか?”という疑問。「同書が定義するポリ袋とは、ポリエチレンでできた半透明のもので、130度までの耐熱性があるタイプ。透明のビニール袋や冷凍専用のジッパー付の袋などは熱には弱く適していません。また鍋底にはお皿かシリコーン製の落し蓋などを敷き、袋が直接触れないようにするのもポイントです」と木村氏は話す。適したポリ袋の種類や販売場所などについては、男性高齢者の読者からの問い合わせが特に多いという。安全に調理してほしいという思いから一人ひとりの疑問に丁寧に答えているそうだ。なかには顧客からの問い合わせが多いことから、詳細を聞きたいという書店やスーパーマーケット、「友人の分も買ったのでポリ袋も一緒にあげたい」という読者などの声もあり、口コミでも広まっているようだという。

 特別な鍋がなくても、半真空調理を手軽に試せるとあって、アウトドアや非常食用としても注目が高まっている。さらに、1つの鍋で複数の料理が一度に作れる点も人気だ。「同じカレーでも子ども用と大人用に分ける、1つのおかずも塩分を控え軟らかめに仕上げる介護食と分けるなどにも便利というお声をいただいています。また、煮物や魚の煮崩れも防げるので若い主婦の方にもおすすめですね」と木村氏。昨今レシピ本といえば、企業とコラボし、食材にフォーカスしたものが人気だが、それとは一線を画し、ポリ袋を利用した調理法に着目したことが功を奏した。ちなみに同社はこれまでにも「ねこまんま」(関連記事)や「給食」(関連記事)に焦点を当てたレシピ本を出版し、話題を集めてきた。今後、健康志向はもちろん、防災対策としてもますます注目を集めそうな1冊だ。

(文/池田明子=JVTA)