米国でノンアルビールが不人気な理由

筆者行きつけの酒屋にて。ビールコーナーの一部。ビールだけでこのボリュームにもかかわらず、ノンアルビールはわずか8商品のみ
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 この質問は今回の取材対象者全員にさせてもらったのだが、全員から返ってきたのが、「ほかの清涼飲料との競争が厳しいから」という答えだった。

 なるほど、コーヒー系、お茶系、ソーダ系、ジュース系に加えて近年人気のエナジードリンク系と、米国の清涼飲料の種類は数多で安価だ。広いスーパーの陳列棚の左右すべて清涼飲料だけで占められていることも珍しくはない。コカコーラに代表される清涼飲料がもともと好きな米国人にとっては、ノンアルコール=清涼飲料で、あえてノンアルビールを購入する理由がない。

 加えて考えられるのは、飲酒運転に対する人々の考え方が日本より甘いと思われること、そしてすでにアルコール度数の低いライトビールが一般的であることだ。

 業界誌「オール・アバウト・ビール」編集者ジュリー・ジョンソン氏は、「バドライト(バドワイザーブランドのライトビール)を筆頭に、ライトビールは米国で最も人気のあるカテゴリーですし、市場で定番のビールを好む米国人はノンアルビールよりライトビールを選択することが多いと思います」と語る。

 米国は車でしか行けないところにいくらでもバーやクラブがあり、そうした場所で酒を飲んでから運転する人は実際よくいる。「その種の人は、自分はヘルシーな選択をしていると信じこんでライトビールを飲み、血中アルコール濃度も法定値以下であることを願いながら家に帰る」(ジョンソン氏談)という感覚だ。

 飲酒運転の罰則規定は州により異なり、取り締まりといっても国土が広い分、都市部でなければ警察の手も到底回らず事故が起こらなければ罪を免れてしまう。この現状でノンアルビールが売れないのは、むしろ当然のことなのかもしれない。