人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。
 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。
 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

【コンセプト】そもそもゴルフと同じを目指すわけがない

トヨタ「オーリス RS」
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 果たして業界のキングたるフォルクスワーゲン「ゴルフ」を超えたのか? いきなりオーリス担当の末沢泰謙エンジニアに聞くと、

 「正直、超えているところもあれば、まだまだのところもあると思います。そもそも方向性も考え方も違いますから」

 そう聞いて私は、納得すると同時にこのジャンルの厳しさを思った。

 今、夜間限定のセクシーな“お尻CM”でも話題の2代目トヨタ「オーリス」。このクルマがいる欧州のCセグメント、つまり全長4.2m前後の主にハッチバックカーはある意味、世界で最も厳しい自動車戦場と言える。

 年間200万台も売れる欧州を中心に、北米やアジアでも人気なだけではない。日本で200万円前後とそれなりのコストをかけられるだけに、実用性や燃費はもちろん、スタイルや走りやマテリアルの良さなどあらゆる要素が求められ、総合バランス、つまりポリシーまで重要視される。しかも最近の不況もあって上からのダウンサイジング需要もある。

 言わばスポーツでいうサッカーに近く、このセグメントは、欧州から南米から北米からアジアまで参戦する超激戦の「自動車ワールドカップ」とも言えるのだ。

1.8L CVTのトヨタ「オーリス 180G」
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