スタートは大逆風

筆者わぐり(以下、W):『ZIP!』の「MOCO’S キッチン」、キテルね~!!

三枝孝臣『ZIP!』総合プロデューサー(以下、三枝):おかげさまで(笑)。

W:世間の注目は集めてるし、視聴率も2ケタのいい位置をキープして裏番組の『めざましテレビ』に追い付いちゃったし、万々歳じゃない。でも、初めはかなりボコボコの評判だったでしょ?

三枝:「食材の分量が出てないので、番組を見ても料理が作れない」「こんなの料理コーナーじゃない」「朝の忙しい時間帯に料理なんてやらないでいい」とか、番組を見てる視聴者からだけじゃなく、「何を考えてるんだ、早くやめろ」と社内でもめちゃめちゃボロカスでしたよ。

W:そんな逆風のなか、よくガマンした。

日本テレビ『ZIP!』総合プロデューサー三枝孝臣氏。1966年東京生まれ。89年日本テレビ入社、『THE 夜もヒッパレ』『DAISUKI(ダイスキ)』『さんま&SMAP! 美女と野獣のクリスマススペシャル』『スッキリ!!』『ニッポン食の王座決定戦!』などの演出のほか、『あの日にかえりたい。~東京キャンティ物語~』『東京ワンダーホテル』(いずれも脚本は小山薫堂)といったドラマの演出も手がけている。慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所の講師も務めている

三枝:確信がありましたからね。これはいわゆる料理コーナーじゃなく、“料理ショー”なんだって。かっこいいイケメン男子が華麗な手さばきで料理をするビデオクリップのようなもので、ひたすら「かっこいい、おいしそう、かっこいい、おいしそう……」の繰り返しで見せていこうと。

W:音もかなり意識してるでしょ。タイトルバックのキャベツを刻む包丁の音もかなり印象的だし、本編中の料理の音は収録時に専用マイクでしっかり録ってるじゃない。あと、編集後のMA(録音作業)でなぜか大観衆の歓声が効果音で入ったり、ラフイン(笑い声)があったり、カット割りのテンポやリズムもいいし、三枝Pが『THE 夜もヒッパレ』とかの音楽番組を担当してきた歴史がここに凝縮してる。とにかく細部まで凝ってる。

三枝:「かっこいいビデオクリップにしよう」というのと、そもそも『ZIP!』は32年も続いた日本テレビの看板番組『ズームイン』の後継番組という位置付けなので、その立ち上げを引き受けるにあたって「あの番組であんなことやってるよね」と言われるようなコーナーを積み重ねようと考えたんですよ。

 初期の『ズームイン』には「ウィッキーさんのワンポイント英会話」とか「朝の詩(ポエム)」といった、ほかでは絶対にやってない“気になるコーナー”が用意されてたじゃないですか。あのイメージで、それが今の『ZIP!』なら「おはよう忍者隊ガッチャマン(1分間の“ゆる笑アニメ”)」や「ZIPPEI(旅する犬)」、それに「MOCO’S キッチン」なんです。でもまあ一応、料理の参考にしたいという人のためにネットでレシピを紹介してるし、動画も1週間分公開してちゃんとフォローしてますよ。レシピ集も定期的に発売してますし(笑)。

W:ぬかりないなぁ。レシピ本、しっかり累計30万部も出てるし(笑)。

三枝:3カ月に1冊のペースで出してるんですけど、6月に第4弾も出たのでよろしく!

番組はイケメン俳優の速水もこみちが華麗な手さばきで料理をするビデオクリップのように進んでいく(写真/稲垣純也)
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