国産で完全手作り、昔ながらの製法で傘を製造・販売している前原光榮商店。一般向けはもちろん、皇室御用達の傘も扱っている老舗だ。

 傘には、主要なパーツが4つある。「生地」「骨」「張り」「手元(柄)」がそれだ。前原光榮商店では、それぞれの工程を専門の職人が分担して作り上げる。

「傘にも流行がある」と樋口氏。現在、一番人気なのが16本骨の傘だ。骨の数が多いため開いたときは滑らかで円形に近く、閉じたときにスリムになる。写真は「ピンストライプ」(実勢価格1万8900円~)。手元は10種類から選べる
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 まず、生地は山梨県で織られる。次に骨は、木を削りだして作ったステッキのような中棒に、生地を支える骨、傘を開いた状態や閉じた状態で維持するための「ハジキ」などを付けて作られる。もちろんこれも職人の手作りだ。そして、張り職人によって骨に生地が縫い付けられ、最後に手元職人が手元をつけてようやく傘が完成する。手元の素材は、楓や竹、籐など、さまざまな種類の木が使われるのが特徴。天然の染料が塗られた手元は、使うほどにツヤが出ると評判だ。シャープなシルエットが特徴的な「ピンストライプ」を見たが、非常に重厚感があり、生地の艶も美しかった。落ち着いた柄で、スーツにも合わせやすい魅力的な1本だ。

 前原光榮商店の傘がどのように作られているのか知るために、張り職人・樋口完氏の工房を訪問した。樋口氏は、秋篠宮妃紀子様のパラソルを作ったこともある、この道50年以上になるベテラン張り職人だ。

傘張り職人・樋口完氏。1936年生まれ。東京都江戸川区で樋口洋傘製作所を営む。前原光榮商店では、先代の頃から傘作りの中核である傘張りを担ってきた