ライブ会場で録音・編集・複製し、その場ですぐに販売

 私が画期的だと思ったのは録音して編集し、その場ですぐに売るというやり方です。CDが誕生したのは1982年なので今年で30周年になります。パッケージメディアは「完パケ」という言葉があるように、スタジオでテープを切ったり張ったりしながら(今ではPROTOOLS編集ですが)最高の完成度の作品を作り、CDというメディアに定着させて販売します。あるアーティストの曲をCDで聴くということは、これまではスタジオでの演奏を編集してまとめた完璧バージョンを聴くことでした。

 しかしライブ演奏のCDにはスタジオで収録したCDとはまた別の楽しみがあります。

 同じライブツアーでもファンの熱気は会場によって違いますし、お客さんとのインタラクション(相互作用)によってもまた違ってきます。それこそが、CDを買って持っているファンでも生を見たいという原動力なのです。

 以前から生の魅力はありましたが、決してそれがCDにはなることはありませんでした。もちろん「ライブCD」というものはありますが、ライブ終了してから発売されるまでが遅かったり、きれいに編集されていたりと、生の完全なパッケージというより「作品性」で作られました。

 「お持ち帰りCD」の画期的なのは、まさにライブ会場のその場で買えるということです。自分が直前まで楽しんだライブの演奏が全く損なわれることなく、化粧されることもなくまったくそのまま聞ける。CDはいわば「缶詰」のような感じで音楽を閉じ込めますが、それは生ではなく缶詰の味に変わってしまっています。その例えで言うと、お持ち帰りCDは生の刺身を真空パックにしたようなもので、開けるとそのままの鮮度で出てきます。

 素晴らしいのは、30年前からあるCDというパッケージメディアが新しい魅力を持ったということです

 従来は音楽産業の中にパッケージビジネスがあり、違うカテゴリーとしてライブコンサートビジネスがありました。今はCDは元気がないのですが、その一方でライブは勢いがあります。実際にポップス、演歌、クラシックと実に多数開催されていて多くのファンを動員しており、リピーターも多くいます。

 そのライブの感動をすぐにパッケージ化できるのであれば、ニーズは大いにあると思います。ライブに足を運ぶぐらいですからアーティストやその世界観が好きなわけで、ライブならではのパッケージが得られるのであればそれこそが一番貴重なものでしょう。ライブ演奏はそこにしかない演奏なので、まさにワンアンドオンリーのコンテンツです。