東日本大震災による地震や津波の被害に加え、原発事故による風評被害にも直面している福島県いわき市。日常生活だけでなく、多くの観光資源も甚大な被害を受けている。そんななか、「がんばっぺ いわき」を合言葉に復興を目指すいわき市の観光の現状を、JRいわき駅改札脇にある「いわき市総合観光案内所」で日々観光客の対応に当たっている立原めぐみ氏に聞いた。

JRいわき駅の改札脇にある「いわき市総合観光案内所」に勤務する立原めぐみ氏

――地震の瞬間は何をしていましたか。

いわき市総合観光案内所 立原めぐみ氏(以下、立原):3月11日というと、ちょうどいわきでは梅の花が見ごろを迎えるかなという時期なんですね。私どもの観光案内所でいわき市内の植物を紹介する「いわき市の四季観光ブログ」を運営していまして、「そろそろ梅がいいかな」と思って、昼前ぐらいから「専称寺」「梅林寺」という2つのお寺に写真を撮りに行きました。そのあとお昼を食べてから写真をいわき駅前にある案内所に届けようと、駅前の再開発ビルにクルマを止めようと思っていたんです。

 駐車場に入るのに最初の角を大通りから曲がったところで、ケータイの緊急地震速報が鳴って「えっ」と思って。そのあと、駐車場の順番待ちをしているところで揺れ始めて、その場で3分、ハンドルにしがみついていました。とにかく長かったし、「私はここで落ちてきた外壁の下敷きになって死ぬんだな」と、本当にそう思いながらクルマの中にいました。

 ちょうど私の目の前にあった古い飲食店街がものすごい揺れ方をしていて、ほこりがもうもうと上がっていくような状況で。最初は誰も出てこなかったんですけど、2、3分たったらバババッと人が出てきました。店から出てきた人が道路の標識につかまっていたんですけど、それもグラグラ揺れているような状況でした。

 ただそのときは「怖い」という気持ちよりも、案内所にいるもう1人のスタッフのことが心配で。「すぐに行かなくちゃ」と思ったんですけど、クルマを置いて行くわけにもいかないので、一方通行をかなりグルッと遠回りして、近くの駐車場に止めてから案内所に駆けつけました。

――案内所はどういう状況だったんですか。

立原:もう1人のスタッフの彼女は無事で、案内所からは出ている状態でした。ただ隣の駅ビルはモノが散乱しているし、コンビニも什器がものすごく動いて、モノが下に落ちているような状況で。案内所はいわき駅の自由通路に面しているんですけど、自由通路のつなぎ目が割れて隆起していたりして、とにかくただごとじゃないというのは分かりました。

――最初の大きな揺れはどのくらい続いたんですか。

立原:3分くらいでしたね。ただその後も、とにかく頻繁に揺れていましたが。

 案内所を確認したらちょっと落ち着いて、どうすべきかを本部事務所に確認しようと電話したのですが、つながりませんでした。それで、自分たちの判断で案内所を閉めました。

 そのとき観光客の方はいませんでしたが、目の前で10代くらいの女の子2人組が泣いていたんですよ。「大丈夫だから。お家はどこ?」「今は電車が動かないから、とにかく絶対2人でいるように」と声を掛けました。

地震直後の観光案内所の様子
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観光案内所の目の前にあるいわき駅南北自由通路はつなぎ目が割れ、亀裂が隆起していたという
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