人間誰しも美しく生活したいと思っている。それは見た目だけじゃない。中身から美しくということだ。
 それはクルマも同じである。今どきクルマを実用性だけで買う人はいない。だったらトラックやバンでいい。そうではなく、乗る人の身体はもちろん、時には頭や心まで気持ち良くしてくれるから買うのである。それはスタイリングであり、走りであり、質感であり、ブランド性であり、知的興奮を誘うエピソードである。クルマはある意味、五感で味わうプロダクトだ。だから楽しくも難しいのである。
 というわけでこの“ビューティフルカー”では私、小沢が美しさや知的エピソードを中心にクルマを語っていこうと思う。

【コンセプト】自動車デフレーション時代

[画像のクリックで拡大表示]

 振り返れば最近、「もう○×△なんて要らない……」というタイトルを連続で付けている気がする(笑)。我ながら貧困なる発想力に愕然とするが、言い訳をすると、本当にこのクラスが伸びているのだ。それも世界的に。具体的にはフォルクスワーゲン「ゴルフ」、BMW「1シリーズ」、アウディ「A3」などのグローバルコンパクトが。

 走りの良さや居住性はもちろん、特に大きいのはインテリアのクオリティ。ハッキリ言って乗った瞬間、「上のクラスはいらないな」とすら思う。その上、サイズや重量からして燃費的にも有利なのだから、事実上のデフレと言っていいだろう。要するにコンパクトカーのサイズで、一部ミディアムクラスの味や使い勝手が楽しめる時代なのだ。

 というわけで出たばかりの新型スバル「インプレッサ」。これも言わば全長4400mmクラスのグローバルコンパクトで、今回からハッチバックに「スポーツ」、セダンに「G4」というサブネームが新たに付けられた。

 注目すべきは、モデルチェンジ全体にやたら気合いが感じられること。自慢のボクサーエンジンは約1年前にデビューした、20年以上ぶりの完全新設計「FB」シリーズで、既存の2Lに加え、インプレッサのために新作されたような1.6Lが加わったし、ボディーはサスペンションまで含めて新設計されただけでなく、今回からより世界市場を意識してかセダンを中心に設計された。過去のインプレッサとは“別物”の匂いがプンプンなのだ。

 今回は残念ながら時間の制約もあって「スポーツ」の最高級グレード『2.0i-S アイサイト』しか乗れなかったが、実力の一端は十分に感じることができた。取り急ぎレポートする。

右側はセダンの「G4」。機会があったらこちらもレポートしたい
[画像のクリックで拡大表示]