2012年1月20日、東京のJR上野駅に、地産品ショップ「のもの」がオープンした。何やら聞き慣れないショップ名で面白そうと、好奇心を掻き立てられて取材に行った。

 話をうかがったのは、JR東日本で事業創造本部地域活性化部門に所属している名川進課長だ。JR東日本グループでは、鉄道ネットワークを活かして、地域と一体となって「ヒト」や「モノ」が循環することを目指し、「地域再発見プロジェクト」を推進している。「のもの」は、その一環として登場したショップだという。

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地域の魅力を消費者に伝えるショップ

 だから、地産品ショップと銘打っているが、日本各地の地産品を売るだけでない、新しい役割も担っている。それはどういうものなのか――パンフレットを繰ってみると、「『のもの』は、生産者の手によって生まれた品々を通じて、地域の魅力を伝えるショップです」とある。新鮮な産直野菜や果物をはじめ、お菓子類、地酒の数々、豊富な加工品など、日本の各地域には、幅も奥行きも豊かな食の世界が存在している。それを、「モノ」だけでなく「ヒト」も介在して、紹介していこうという新しい試みだ。

 地方を訪ね、モノ作りの現場を取材していて感じるのは、基本的なマーケティングがなされていないために、流通していない、消費者の手にわたっていかない――そんなものが数多く存在していることだ。他にはないおいしさがあるのに、パッケージがいまひとつで魅力的に映らない。ユニークなお菓子なのに、食べてみるまで何が“売り”なのかがわからない。基本的な部分で、商品の特徴が伝わっていないために、埋もれているものが少なくないと感じてきた。

 だからこそ、地方の産品の良さを、消費者に直接、アピールできる場が必要であり、そこで得られた消費者からのフィードバックを活かし、次なるモノ作りを行っていく――こういった良い循環が生まれれば、地方のモノ作りが元気になっていくに違いないと思う。

 まさに、食の分野において、このポイントをついた業態が「のもの」と言える。地域の生産者はもちろん、地方の行政や銀行を巻き込んで、一緒に東京のショップで販売してみることで、モノ作りのマーケティングに活かすことを意図している。

 JR東日本の地域再発見プロジェクトでは過去3年にわたり、上野駅をはじめ、主要な各駅で「産直市」を開催してきたという。「さまざまな駅で開催してきた結果、お客様からの手ごたえもあり、もっと多くのものを売りたいという要望があったことから、常設店舗を設けることになった」と名川さんはいう。

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